2020 Fiscal Year Research-status Report
金ナノ粒子による局所温熱効果を利用した末梢動脈疾患治療の効果検証
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18K08041
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
得能 智武 九州大学, 大学病院, 講師 (50567378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 義洋 九州大学, 大学病院, 講師 (40404032) [Withdrawn]
堀内 孝彦 九州大学, 大学病院, 教授 (90219212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 低酸素 / 血管新生 / 金ナノロッド |
Outline of Annual Research Achievements |
金ナノロッドを使用した炎症部位への温熱療法とドラッグデリバリーの可能性を検討している。金ナノロッドに近赤外線光を照射すると、フォトサーマル効果に より金ナノロッドが熱を帯びることが知られている。我々はこの効果を利用して、局所の温熱療法が出来るシステム構築を目指している。 静注した金ナノロッドが炎症部位に集積するかどうかは炎症のモデルとして心不全マウスを用いた。尾静脈から金ナノロッドを静注して、体内での分布を調べた結果、炎症モデルマウスでは、コントロールマウスと比較して、心筋組織の炎症部位に一致して金ナノロッドの有意な集積することが分かった(Heart Vessels. 2019,34(3):538-544.)。 このような金ナノロッド動態検証に加えて、下肢虚血モデルマウスを用いて、金ナノロッドと近赤外線による温熱療法の効果を検証している。片側の大腿動脈結紮と摘出による下肢虚血モデルを使用し、金ナノロッドを虚血部位に直接投与(筋肉注射) する方法を選択して行っている。 金ナノロッド投与群では低刺激の近赤外線光で体表面温度が上がりやすいことが確認できた。金ナノロッド投与群に近赤外線を当てて、表面温度が41-42度になるように近赤外線光装置からの距離と強度を設定した。同様の条件でコントロール群にも近赤外線を当て、温熱治療による血管新生促進効果を金ナノロッド群と比較する。 血流ドップラー計やサーモグラフィを使った測定結果に加え、回収した下肢組織の免疫染色や 生化学的な評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者の異動により、今年度予定していた動物実験の進行が滞ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
金ナノロッドを虚血部位の組織に直接投与する方法にて、近赤外線と金ナノロッドを組み合わせた温熱治療の条件を確立する。これまでの検証で、近赤外線を下肢に投与した金ナノロッドにあてると容易に温度上昇することを確認した。照射部位の温度が41-42度になる条件で、同じようにコントロール下肢を照射しても皮膚温の有意な上昇は認めなかった。局所的な温熱療法により副作用を少なくし、虚血部位の血管新生促進をさらに効率的に進める。 下肢虚血部位の組織を回収し、免疫染色やWestern blotなどで評価を行い、金ナノロッドの温熱効果により刺激されるシグナル伝達系を評価する。
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Causes of Carryover |
出席を予定していた国内外の学会が中止、もしくはWeb開催となり、旅費として計上していた予算が余った。また、研究分担者の異動に伴い動物実験が滞ったため、次年度に繰り越すこととした。 今後の使用計画としては下肢虚血モデルマウスの検体を使用し、抗体を用いて血管新生促進効果を生化学的な手法でも評価する。
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Research Products
(2 results)