2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of vascular aging and heart failure due to transcription and DNA damage response and therapeutic application
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18K08046
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 良三 自治医科大学, 医学部, 学長 (60207975)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血管老化 / 心不全 / 転写 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全の死亡率はいまだに高く、癌とともに克服すべき主要な疾患である。すでに多くの心肥大誘導因子が知られているが、心不全に至る適応破綻の機構は十分に解明されていない。我々はこれまでに心筋間質細胞の転写因子KLF5が負荷適応に重要であり、KLF5のアセチル化はin vitroで細胞増殖に関わることを示してきた。本研究では、KLF5のアセチル化とKLF5の相互作用因子であるDNA修復因子(ATM、H2AX等)、Wnt/βカテニン、SASP因子(細胞老化関連分泌現象)に着目し、個体レベルで心臓の適応と破綻における役割を明らかにする。KLF5の非アセチル化変異マウスとATM、H2AX欠損マウスの心臓に負荷を与え、いずれの細胞におけるKLF5のアセチル化と相互作用因子が、血管老化を介し心臓の負荷適応と破綻に関わるかを明らかにする。さらに、最近我々が開発したKLF5拮抗薬の心不全治療薬としての有効性を検証し、その機序を解明する。 本研究では、KLF5のアセチル化とDNA損傷応答因子(ATM、H2AX等)に着目し、種々の遺伝子改変マウスを用いて、心不全に至る適応破綻の機構を明らかにする。心肥大等の心筋リモデリングにおける増殖シグナル及びDNA修復の役割を解明し、心不全に至る適応破綻の機構を明らかにする。さらに心不全への病態変化を抑制する新たな治療標的の同定を目指す。具体的には、まず、KLF5のアセチル化変異マウスを用いて、心臓の適応と破綻におけるKLF5アセチル化の個体レベルでの意義を明らかにする。次いで、心筋リモデリングにおける細胞修復反応に関わるATM、H2AXを中心としたDNA損傷応答シグナルの関与があるか明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KLF5のアセチル化とDNA損傷応答因子(ATM、H2AX等)に着目し、種々の遺伝子改変マウスを用いて、心不全に至る適応破綻の機構を明らかにする。ATMはリン酸化により活性化されるため、リン酸化酵素を標的とした阻害薬等を用いれば心不全発症を防止できる可能性がある。そこで、本シグナルカスケードの心肥大形成および心不全発症における新たな役割を解明し、これらの因子と結合する蛋白を単離することにより、心不全への病態変化を抑制する新しい治療標的を同定する。さらに、負荷適応と破綻時のKLF5ないし、ATM・H2AXの複合体を包括的に同定する。具体的には、心肥大、心筋梗塞モデルマウス等を用いて、心臓の負荷適応と破綻にKLF5のアセチル化とDNA修復因子が関与するか明らかにする。また、シグナルの特異的な阻害薬が心不全発症を防止するかを明らかにする。さらにプロテオミクスを用いて負荷適応と破綻の際にこれらと相互作用する因子を単離することにより、新しい治療標的を同定する。これらの同定された因子を標的として、臨床へのトランスレーションを目指したバイオマーカー開発ないし創薬による新規治療法開発も目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、心肥大、心筋梗塞モデルマウスを用いて、心臓の負荷適応と破綻にKLF5のアセチル化とDNA修復因子が関与するか明らかにする。また、シグナルの特異的な阻害薬が心不全発症を防止するかを明らかにする。さらにプロテオミクスを用いて負荷適応と破綻の際にこれらと相互作用する因子を単離することにより、新しい治療標的を同定する。なお、新型コロナウイルス感染症の影響で研究が遅延した。
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Causes of Carryover |
当初支出予定していた物品費、旅費、人件費・謝金、その他の経費はいずれも講座研究費でそれらの一部賄うことができたため、当該年度使用経費に余剰が生じた。 今年度未使用経費は次年度以降に物品費、旅費、人件費・謝金、その他の各経費に充当することにより、次年度以降の研究を加速することが可能と考えている。 なお、新型コロナウイルス感染症の影響で研究が遅延した。
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