2019 Fiscal Year Research-status Report
心外膜脂肪に潜む免疫細胞を介した心筋梗塞後心不全における炎症進展機序の解明
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18K08048
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安西 淳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50528164)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 炎症 / 免疫 / 心筋梗塞 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス心筋梗塞後4日目の心外膜脂肪に浸潤する炎症細胞をflow cytometryにより検討した。その結果興味深いことに、心外膜脂肪の容量が心筋梗塞を作製しないshamマウスと比較してMI後に増加すること、MI後の心外膜脂肪にはshamのマウスの心外膜脂肪と比較して、monocyte, macrophage, T細胞, B細胞などの炎症細胞が多数存在すること、さらに興味深いことに、shamマウスではほぼ見られなかったIL-3を産生するB細胞(IgM+)が強力に誘導されることを見出した。同様の細胞は、心筋梗塞部位、脾臓、腹部内臓脂肪には認められなかった。 IL-3のターゲットとして梗塞部位におけるIL-3受容体の発現を検討すると、主にmacrophage, monocyteにその発現が認められた。これらmyeloid cellはMI後の炎症性サイトカインの主なsourceであるため、マウス骨髄細胞よりBone marrow-derived macrophage (BMDM)を誘導し、IL-3で刺激すると、IL-1β, IL-6, CCL2などの炎症性サイトカインが強力に誘導された。 C57BL/6へ交配を終えたIL-3KOマウスとlittermateのコントロールマウス(以下WTマウスと表記)にMIを作成し、1ヶ月後の生存率、心機能の評価を行なったところ、preliminary dataではあるが、IL-3KOマウスで改善傾向にあった。また梗塞部位での浸潤細胞の評価をflow cytometryを用いて行うと、IL-3KOマウスでLy6Chigh単球、マクロファージの集積や、IL-1β, IL-6, CCL2などの炎症性サイトカインの発現が低下傾向にあった。一方、骨髄、末梢血中の好中球、単球などのmyeloid cellの数には両群間で変化を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IL-3KOマウスのBalb/cからC57BL/6への交配が終わり、現在安定した繁殖が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-3KOマウスを用いた実験を行いながら、当初の計画通り、IL-3KOマウスとB細胞欠損マウス(μMTマウス)の骨髄を用いたmixed bone marrow chimeraによりB細胞特異的IL-3KOマウスを作製し、表現型の評価を行う。また、IL-3が実際に治療標的になり得るかの検討のために抗IL-3中和抗体を使用し、MI後心不全に対するその効果を評価する。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行ったため生じたものと考えられる。 未使用分に関しては次年度に消耗品の購入に充てる予定である。
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