2023 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of effectiveness of Aryl hydrocarbon receptor blockade on cardiorenal syndrome
Project/Area Number |
18K08050
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
盛田 俊介 東邦大学, 医学部, 教授 (60286094)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心腎連関 / インドキシル硫酸 / 芳香族炭化水素受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、芳香族炭化水素受容体(AhR)が、尿毒症物質であるインドキシル硫酸(IS)の作用点として血管内皮細胞の障害に関わることをin vitroで明らかにした。本研究ではAhRのリガンドとして知られている食品由来のポリフェノール類を用いて、その作用がIS-AhR経路の活性化によって惹起される心血管組織の傷害を解除できるか否かを検討した。 初めに、ヒト大動脈血管内皮細胞 (HAEC) を用いて各種ポリフェノールの効果を検討した。その結果ケルセチンがIS-AhR経路の活性化を抑制し、MCP-1の分泌を減少させることを確認した。これらを基に5/6腎摘腎不全マウスを作成して、IS投与群におけるケルセチン投与の心血管系への影響の検討を行った。その結果、IS投与群の大動脈ではISによるAhRの活性化の指標としたCYP1A1と1B1のmRNAの発現が増強し、血管内皮障害の指標とした血中MCP-1濃度が上昇していた。一方、ISとケルセチンの同時投与群ではCYP1A1と1B1のmRNAの発現、MCP-1血中濃度ともにIS非投与群程度に抑制されていた。ケルセチン投与では、血中IS濃度の低下は認めないことから、ケルセチンがISによるAhRの活性化を介した大動脈の傷害を解除している可能性が示唆された。心筋組織では、ISの投与、非投与に関わらず、CYP1A1と1B1のmRNAの発現は増強せずコントロールと同程度であり、またケルセチンの影響も受けなかった。一方、ISとケルセチンの同時投与群ではIS投与群で増加した心筋組織の線維化マーカー平滑筋アクチン (α-SMA) の発現が抑制された。また、心臓超音波検査では、IS投与群で悪化した拡張能はISとケルセチンの同時投与群ではIS非投与群程度に改善されていた。 以上の結果からケルセチンは心血管系でのIS-AhR経路遮断による心腎連関抑制に有効である可能性が示唆された。
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