2019 Fiscal Year Research-status Report
食後高血糖・食後高中性脂肪血症が骨髄幹細胞・血管内皮前駆細胞に与える影響
Project/Area Number |
18K08053
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 真佳 関西医科大学, 医学部, 講師 (30548706)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 幹細胞老化 / 2型糖尿病 / 食後高血糖 / 食後高中性脂肪血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は7日間の血糖+中性脂肪のスパイクが骨髄細胞の老化(造血幹細胞数の増加、造血幹細胞の細胞周期の活性化、骨髄球系に偏った分化、分化能の低下)を誘導する機序について検討を開始した。LSK細胞(造血幹細胞)をフローサイトメータを用いてソートし、RNAの発現を検討したところ血糖+中性脂肪のスパイクはPBS投与と比較して、LSK細胞内でp53の発現を増加させることがわかった。このような変化は7日間の血糖のみのスパイクもしくは中性脂肪のみのスパイクでは誘導されなかった。さらに詳しくLSK細胞内における転写調節を検討する目的で7日間の血糖+中性脂肪のスパイクを作成したマウス、7日間の血糖のみのスパイクを作成したマウス、糖や脂肪の代わりにPBSを投与したマウスからそれぞれLSK細胞を採取して、PBS投与群をコントロール群としてRNA sequence analysisを行った。もともとLSK細胞の大部分は静止期(G0期)を維持し、その代謝は解糖系に強く依存し、ミトコンドリアでの生合成は抑制されていること、HIF1α転写因子が重要な役割を果たしていることが知られている。今回の検討で、LSK細胞は7日間の血糖のみのスパイクに対して更にHIF1α転写因子を活性化し、ミトコンドリアでの生合成を抑制する方向に調節を行うことがわかった。また、一方で7日間の血糖+中性脂肪のスパイクは糖や脂肪酸の取り込みを促進しミトコンドリアでの生合成を促進する方向の調節を行うことがわかった。また、LSK細胞の分化を司る4つの転写因子のうちPU.1とCEBPα(共に骨髄球系)が血糖+中性脂肪のスパイクによって活性化し、GATA1(赤血球系)とIkaros(リンパ球系)が血糖のみのスパイクで活性化することがわかった。今後はsの機序について検討を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血糖+中性脂肪のスパイクによる骨髄細胞の老化誘導の機序の検討を進めることができているから。
|
Strategy for Future Research Activity |
RNA sequence analysisの結果、7日間の血糖+中性脂肪のスパイクと7日間の血糖のみのスパイクはLSK細胞内で非常に異なった転写調節を誘導することがわかった。 今後はこの機序について検討を進める。
|
Research Products
(4 results)