2020 Fiscal Year Research-status Report
肥大型心筋症の病因解明と新規薬物療法の開発に向けた研究
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18K08065
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
前川 裕一郎 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90296575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬藤 光利 浜松医科大学, 国際マスイメージングセンター, センター長 (20302664)
堀川 誠 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (50775997) [Withdrawn]
秋田 敬太郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (70645762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肥大型心筋症 / 心不全 / 心筋代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
17症例の肥大型心筋症症例の心筋生検検体を用いて解析を行った。 心筋生検検体を凍結包埋法により切片化し、質量分析装置(DESI-MS)を用いて代謝プール、すなわち分子組成の違いを解析する事で、背景による心筋代謝の違いを比較検討した。10症例を1st cohortとし、血清NT-proBNP値およびトロポニンT値については、高値群と低値群、また、臨床的重症度、具体的には植え込み型除細動器植え込み症例および中隔縮小療法対象症例については、重症例、それ以外を非重症例として各々2群に分け、解析を行った。解析は単盲検で行った。1st cohortを探索目的のcohortとし、2群間で脂質関連物質を中心とする代謝産物の違いを比較検討した。血清NT-proBNP値およびトロポニンT値については、両群間で有意差を認めた分子は同定されなかったが、臨床的重症度については両群間で有意差を認めた分子を同定した。具体的には、Volcano plotを作成し、両群間で発現強度に有意差を認めた分子を確認した。その分子数はは26分子であり、その内、生検検体上に認めたのは6分子であった。これらの6分子については、臨床的重症群と非重症群で発現強度に差異を認めるか否か、2nd cohort、すなわちvalidation cohortで確認を行った。結果、6分子の内、信号強度に両群間で有意差を認めた分子は、m/z 281.2483 とm/z 327.2325であった。これらは、それぞれ、オレイン酸とDHAに相当する。本解析の結果から、重症群は非重症群に比べて心筋内のオレイン酸とDHAの発現を強く認めることが明らかとなった。なお、両群間で血清EPAおよびDHA濃度に差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画については変更をせざるを得なかった。当初から予想はしていたが心筋生検の検体の扱いが難しく、研究の遂行を困難にした。しかし、研究方法を変更し、最終的には概ね仮説通りの結果を得ることが出来た。現在、最終解析を終了し、論文執筆中である。5月末でには海外雑誌に論文を投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析による解析だけでなく、遺伝子解析や他の解析法を用いて、肥大型心筋症の病態を解明し、創薬につながる研究を推進していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
予定した研究計画を、中途で変更せざるを得なくなり、研究の進捗状況が予定よりも遅れた事により次年度使用額が生じた。現在は、仮説通りの結果が得られ、最終解析を終了しており、論文投稿間近である事から、当該研究費については主に論文投稿に関する費用に充てる予定である。
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