2019 Fiscal Year Research-status Report
新規HDL機能評価指標の実用性の検証と規定因子の同定
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18K08073
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杜 隆嗣 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (50379418)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高比重リポ蛋白(HDL) / コレステロール取り込み能 / 動脈硬化 / 心血管病 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、コレステロール逆転送系の最初のステップを反映するHDLのコレステロール引き抜き能が、HDL-Cよりも冠動脈疾患のリスク層別化により有用であるという 報告が相次いでいる。しかしその評価にはラジオアイソトープや細胞を必要とし、臨床応用が困難である。これらの弱点を克服すべく、1) RIの代替として蛍光 色素を用い(非放射性)、2) 血清と蛍光標識コレステロールをインキュベートし(無細胞)、3) ApoAI抗体でHDL粒子を捕捉した後の蛍光強度を測定する(HDL 特異的)、新たなHDL機能評価系を開発し、得られた指標をコレステロール「取り込み」能と命名した。 経皮的冠動脈形成術を施行した計207名の患者を対象に本指標を測定し、冠動脈ステントを留置してから平均42.3か月後に光干渉断層法を用いて冠動脈内を観察 したところ、HDLコレステロール取り込み能の低下がステント内の新生動脈硬化病変の形成を予測する危険因子であることを明らかにした。また、本指標は標的 病変の再血行再建率と有意な負の相関を認めた。さらにコレステロール取り込み能はステント内に生じた脂質リッチなプラーク病変の大きさならびにマクロファージの集積についても負の相関を示すことを明らかにした。 また、コレステロール取り込み能を自動化で測定できるシステムを完成させた。これまでポリエチレングリコール沈殿法による血清からのアポ蛋白B除去を行っていたが、本システムでは血清から前処理なしで直接、測定することが可能となった。これにより全工程に半日ほど要していたところが、1検体につき30分以内で測定が可能となり、ハイスループット化の実現に至った。引き続き本指標の臨床応用を目指し、心血管疾患のリスク層別化における有用性について検討する。さらに本指標を規定する因子について包括的な基礎研究・臨床研究・疫学研究を通じて解明する
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コレステロール取り込み能の低下が冠動脈ステント留置術後の標的病変に対する再血行再建率の上昇につながることを明らかにしており、コレステロール取り込 み能の臨床応用を目指し、心血管疾患のリスク層別化における有用性について検証するという目的に対し一定の成果を上げている。 また多検体のコレステロール取り込み能をより短時間かつ、高い堅牢性をもって測定できる完全自動化測定システムが完成し、機能不全HDLが実際に日常臨床に 及ぼすインパクトについて検証できる段階に到達した。現在、各種病態や薬物がコレステロール取り込み能に及ぼす影響について検討を開始している。さらにコレステロール取り込み能を規定する因子を同定することを目的とした基礎研究も着実に遂行中である。このように当初の研究目的に対し、順調に進展していると判断した
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Strategy for Future Research Activity |
完全自動化測定システムを用いて、コレステロール取り込み能の性別・年齢別の分布状況ならびに各種疾患や薬物投与歴との関連について神戸大学病院に通院中の患者を対象に検討する準備を始めている。また、心血管病の一次予防における有用性について引き続き久山町研究において検討中である。さらに二次予防における有用性について昭和大学との多施設共同研究により検証を行う予定である。CETP欠損症をはじめとした遺伝的背景を有する高HDL-C血症患者におけるコレステロール取り込み能についても解析を行う予定である。 一方、本指標を改善させる方法を探索すべく、基礎研究も並行して行う。
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Research Products
(3 results)