2019 Fiscal Year Research-status Report
肥大型心筋症におけるリアノジン受容体安定化による新しい分子標的療法の開発
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18K08076
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
奥田 真一 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90530212)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肥大型心筋症 / リアノジン受容体 / カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性肥大型心筋症でみられる点変異を模した肥大型心筋症(HCM)型TnTトランスジェニックマウス(HCM-TG)は、既にヒトのHCM患者で見られる錯綜配列を有することが判明しているモデルマウスである。単離心筋細胞において、コントロールの状態で細胞内カルシウム(Ca2+)動態異常を反映したCa2+transientの異常、リアノジン受容体(RyR2)機能異常により生じるCa2+ spark頻度の増加、催不整脈性の指標であるspontaneous Ca2+ transient(sCaT)の頻度増加がみられ、強心薬負 荷でその傾向はさらに顕在化した。また、RyR2安定化薬のダントロレンの投与ではそれらの異常が著明に改善した。また、HCM-TGでは、RyR2におけるカルシウム依存性カルモジュリンキナーゼII(CaMKII)のリン酸化部位のタンパク発現が上昇し、RyR2のチャネル機能異常に寄与していることがわかった。一方、CaMKII過剰発現マウス(CaMKII-TG)では、RyR2でのCaMKIIリン酸化が著明に増加し、RyR2からカルモジュリン(CaM)が解離すること、その結果、心エコーでは左室駆出率が低下することがわかった。また、単離心筋細胞では、心筋細胞短縮率の低下と細胞内Ca2+動態異常がみられた。単離心筋細胞へのダントロレンの急性投与では心筋細胞内Ca2+動態異常が改善し、ダントロレンの慢性投与ではRyR2のCaM結合能の改善を伴って低下した心機能が改善することがわかった。今後、その機序などを含めさらに解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCM型TnTトランスジェニックマウスにおいて、リアノジン受容体安定化により心筋細胞内カルシウム動態が改善することを見出して論文掲載された。CaMKII過剰発現マウスについてもダントロレン慢性投与により心機能が改善することを見出して論文掲載された。そのほかの項目もおおむね計画通り順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
肥大型心筋症におけるリアノジン受容体安定化による分子標的療法の開発に向け、最新の知見を盛り込みつつ、計画の実行に向けて努力する。
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Causes of Carryover |
(理由)データ解析のために新規のコンピュータ購入を予定していたが、新年度以降に性能の上がったコンピュータが発売される見込みであるため、今回は購入を 見送った。そのため、当初の予算を消費できなかった。 (使用計画)研究計画に沿って有効かつ適正に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)