2018 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧症と脂質代謝異常の接点-治療標的・バイオマーカーとしてのMT1-MMP
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18K08080
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
杉本 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (30404867)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺高血圧 / 脂質異常症 / matrix metalloprotease / 一酸化窒素 / Smad / 右室肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は肺動脈性肺高血圧症の肺血管病変、右室機能異常に対する脂質代謝異常症 の影響について、低酸素誘導肺高血圧症マウスに高脂肪食を投与したモデルを用い、血行動 態学、分子生物学的に機序の解明を行うのが目的である。 平成30年度は、低酸素曝露と高脂肪食投与を行ったマウスの肺組織において、肺動脈圧、右室肥大、肺高血圧の際に変化することが一般的に知られている分子がどのように変化しているか確認を行った。低酸素曝露により上昇した肺動脈圧および右室の肥大は、room airに戻してから数週間で改善が認められるが、高脂肪食を投与した群においてはその改善が遅延する傾向がみられた。また低酸素曝露後の肺組織内のSmad 1/5/8の活性低下はは通常食と高脂肪食のマウス間で差はなかったが、低酸素曝露解放後、通常食群では、低酸素曝露前とほぼ同程度までSmad 1/5/8の活性は回復するが、高脂肪食では不十分になる傾向がみられた。一方、血管拡張物質である一酸化窒素の合成に関わるAktの活性には変化がみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低酸素曝露、高脂肪食負荷マウスはこれまでに各群8頭ずつ作成済であり、血液、肺組織サンプルは確保されている。 計画当初、高脂肪食負荷のみで変化がない場合にはapoEノックアウトマウスなどのモデルを用いる予定であったが、上記の如く高脂肪食負荷単独で、肺血管リモデリングに関わる分子に変化がみられており、このまま計画を進められれば大きな遅延はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた組織、血液サンプルから、matrix metalloproteaseの活性や発現測定を行い、さらに分子学的に関連する因子、PPARγ、酸化LDLレセプターや、エンドセリン-1の発現などについて検討していく。 肺組織における肺動脈リモデリングの差について測定、比較を進める。 肺動脈圧や右室圧の測定は実験手技が極めて繊細であり、誤差や測定不能となるケースもあったため、さらに頭数を増やして検討の余地がある。
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