2018 Fiscal Year Research-status Report
Significance of APE1 as a Diagnostic and Therapeutic Target Molecule in Onco-Cardiology
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18K08093
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 化学療法誘発性心筋障害 / ドキソルビシン / APE1 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
DOX誘発性心筋障害マウスモデルを確立しその経時的解析を行った。10-12週齢の雄性C57BL/6JマウスにDOXを多段階用量で適用し、血液検体と心筋の経時組織学的解析とともに高解像度心エコー機能解析を行い、合わせて心筋障害バイオマーカーおよび心機能障害指標としてのAPE1の検証を目的として、DOX投与前後のAPE1 (ELISA)の経時的変化を、現在非特異的マーカーとして用いられるTroponin, BNPと比較検討した。DOX心筋障害の経時組織学的変化とAPE1発現の相関を検討し、DNA損傷、核酸塩基損傷産物、塩基損傷修復機構の変化、関連miRNAの変動、酸化ストレス指標とアポトーシスの変動と比較検討した。さらに、心機能の経時的変化を高解像度心エコーにより収縮・拡張両機能の面から評価して、DOXによる心筋障害・心機能障害の推移とAPE1の時間的・空間的分布の推移との関連を明らかにしつつある。 APE1導入による心筋障害軽減効果の検証に向けて、培養心筋細胞のDOX添加細胞障害に対するAPE1の修飾効果を検討するため、マウス培養心筋細胞に既報のごとくDOX添加細胞障害を誘発し、ヒトAPE1遺伝子組み込みレトロウイルスによるAPE1過剰発現条件とsiRNAによる消去条件を適用し、APE1導入の効果を細胞レベルで検討を進めている。また次のステップとして、生体におけるDOX誘発性心筋障害・心機能障害に対するAPE1の効果を既報のAPE1導入Sca1陽性心筋幹細胞を適用し、高解像度心エコーによる心収縮・拡張両機能評価からDOX誘発性心機能障害に対するAPE1導入の効果を検討予定である。 これらによって、DOX誘発性心筋障害を早期に検知する新規バイオマーカーとしてのAPE1の意義を確立し、DOX誘発性不可逆的心筋障害の治療標的分子としてのAPE1の可能性を明らかにするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定のごとく概ね順調に進展している。 現在市販のELISAキットで初期の目的は達成出来ているが、APE1の心筋障害バイオマーカーとしての意義を確立するにはより高感度のELISAが求められ、今後の課題として改良を進行中である。DOX誘発性心筋障害の心機能・組織の経時的変化をとらえる事が出来ており、その本質が、収縮能のみならず拡張能障害を伴う炎症性・変性性変化を主体とするものであることを確認し、酸化ストレスおよびアポトーシスの関与も検出して、今後のAPE1介入処置による修飾効果の判定に供する事が出来る状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
治療標的としてのAPE1の意義を確立するため、マウス培養心筋細胞に既報のごとくDOX添加細胞障害を誘発し、ヒトAPE1遺伝子組み込みレトロウイルス処置することによるAPE1過剰発現条件とsiRNAによる消去条件を適用し、細胞レベルでの効果を明らかにする。また次のステップとして、生体におけるDOX誘発性心筋障害・心機能障害に対するAPE1導入の効果を既報のAPE1導入Sca1陽性心筋幹細胞を適用し、高解像度心エコーによる心収縮・拡張両機能評価からDOX誘発性心機能障害に対するAPE1導入の効果を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
今年度分は比較的安価な消耗品のみで推移したが、次年度は遺伝子操作等の高額物品費が生じるため、計画通りの支出になる予定である。
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