2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性不整脈とエピジェネティクスの関連性についての検討
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18K08102
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
服部 哲久 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (80638932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 聖子 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (20610025)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピゲノム / DNA構造多型 / ロングリードシークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝性疾患はゲノムDNA上のタンパク翻訳領域の変異で発症することが多い。しかし、同じ変異を保持しながら、家系内で症状が違うことがある。また明らかに遺伝性疾患の表現型を取るにもかかわらず、タンパク翻訳領域には変異が同定されないことがある。我々は遺伝性不整脈を中心に遺伝性循環器疾患の遺伝子スクリーニング及びその機能解析を行ってきており、これらのスクリーニングで得られた家系内の表現型の差を調べ、また表現型を呈しながら原因遺伝子変異が同定されない症例について、エピゲノム関連のスクリーニングを行い、疾患との関連を解明するため、研究を行った。 当初の計画では、Chip-Seqを行う予定であったが、全エクソン解析および全ゲノム解析を先に実施し、疾患に影響しているゲノムDNA上の変異を同定すべきと考えた。さらに2019年度にはロングシークエンサーであるOxford NanoporeのGridIONを購入することになり、ゲノムDNAの構造異常が容易に同定できることになった。 そこでまず、Nanopore sequencerの解析条件を設定する必要があった。そのため、すでに構造異常が同定されているサンプルについて泳動を行った。最初の泳動では、ライブラリ調整後のサンプルで断片化したものも同時に泳動してしまったため、十分量のデータを得ることができなかった。これらの点を改善し、short readでは同定できなかった相同配列部分のBreakpointも同定することが可能であった。 今後、先天性QT延長症候群の表現型を呈しながら、これまでのショートリードシークエンサーでは変異が同定されていないサンプルについて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノポアシークエンサーの導入により、エピゲノムに関連するプロモーター領域等の構造異常を同定可能になった。そのため、当初の予定とはやや変更したものの、順調に疾患と関連したエピゲノムの解析が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に設定したナノポアシークエンサーの泳動条件で、今年度は変異が同定されていない先天性QT延長症候群の解析を実施する。これらの解析で、プロモーター領域やイントロンなど、タンパクの発現調整と関連する構造異常が同定された場合には、実際の発現解析等を行う。
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Causes of Carryover |
研究実施場所である国立循環器病研究センターが2019年度に移転したため、2ヶ月ほど実験ができない期間があった。 GridIONの初期不良により、交換のため使用できない期間があった。
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