2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模DPCデータを用いた疫学研究~大気汚染が与える心疾患発症と奪う医療費
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18K08119
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
米山 喜平 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70386944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明石 嘉浩 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (40350615)
樋熊 拓未 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40361018)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心疾患病 / 心臓病 / 心不全 / 心筋梗塞 / 気温 / 大気汚染 / 不整脈 / 動脈解離 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】欧米を中心に大気汚染や気象条件が循環器疾患に影響を及ぼすことが報告されているが、本邦の大気汚染や気象条件が循環器疾患発症に及ぼす知見は非常に乏しい。超高齢化社会を迎えた我が国において心疾患は主要な社会問題である。本邦においてどのように環境因子が心疾患と関連するか明らかになっていない。 【方法】本研究は、国立環境研究所が提供する大気汚染データと日本循環器学会が提供する患者診療実態調査データをリンクさせ、①大気汚染が循環器疾患の発症に及ぼす影響、②大気汚染が医療費に与える影響を疫学的手法を用いて明らかにする。【結果】1,067,171人の心疾患患者を対象とした。一日の気温の変化(最高気温ー最低気温)が大きいと心血管病の入院数が多かった((coefficient 4.540 per ℃ change, p<0.001). この傾向は若年者よりも高齢者で鋭敏な傾向があり、男女差はなかった。また、平均が低いと心血管病の入院が増加する傾向にあった (coefficient -3.962 per ℃, p<0.001)。 【結論】気温が低いばかりでなく気温の変化が大きいと心疾患の入院患者が増加する。若年者に比べ高齢者ではより気温の変化により心疾患の入院数が増加する傾向にあった温度変化を減らす工夫、暖をとる工夫により心疾患発症を抑制できるかもしれない。超高齢化社会が世界一進んでいる日本のデータは大変貴重なものである。今後はPM2.5のような大気汚染物質の検討をおこなう必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
気温のデータ解析が終了しアメリカ心臓病学会(AHA)で発表した。現在論文化している段階であり、順調である。しかし、遅延していることもある。COVID-19の影響で出張が困難になり、国立循環器病研究センターでの統計解析ができない。このため大気汚染物質のデータ解析が遅延している。これに対しオンラインなどを用いて連絡を蜜にして統計解析を進める方針とした。大気汚染物質のデータ解析は、欧州心臓学会で発表予定であったが学会がキャンセルとなり専門家による意見をもらうことができなかった。しかし、発表のデータを発表せず先に論文化することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカ心臓病学会(AHA)で発表した気温と心疾患の関連をすみやかに医学雑誌に投稿する。大気汚染物質のデータ解析をオンラインで行い、速やかに論文化する。
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Causes of Carryover |
本年度は出張、循環器学会が延期され未使用額が生じた。今後は英文校正や論文掲載費用、統計解析のための出張費、学会参加費、発表に使用する計画である。
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