2018 Fiscal Year Research-status Report
C-peptideのシグナリング解明と心血管病態治療への応用
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18K08120
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
井戸 康夫 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 助教 (50814133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 健 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 内科学, 教授 (50231931)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | C-peptide |
Outline of Annual Research Achievements |
Human C-peptideは膵β細胞でproinsulinからInsulinとともに作られ、分泌される31 amino acids のpeptideである。その生理活性は長い間不明であったが、われわれが示したように(Science 1997)、1型糖尿病動物モデル(Streptozotocin diabetic rat)あるいは高血糖によって生じる血管、末梢神経機能の異常を改善する効果がある。本研究は1)C-peptideのSignaling cascadeの同定、2)2型糖尿病マウスを用いC-peptideの血管、心肺運動機能への効果についての評価、そして3) 糖尿病以外の臨床的応用としてドキソルビシンの心臓障害の抑制効果についての評価をおこなうことを目的としている。 実験計画では、今期は細胞培養系でCーpeptideのシグナリングを解明する予定であった。まず、C-peptideはオートファジーの亢進を引き起こすことが確認された。このC-peptideによるオートファジーの亢進は、飢餓によるpan-autophagyと様相が異なり、selective autophagyと考えられた。Selective autophagy によるp62の減少はNrf2の活性化が知られているので、この系を探索、研究した。オートファジーによるファゴソームの形成後、Nrf2の核内集積が免疫染色で認められ、その後、Nrf2のターゲットであるgenesのmRNAの増加が認められた。同様のmRNAの増加はfーpeptideを投与したラットのAortaなどで認められた。 従って、CーpeptideのシグナリングのひとつとしてNrf2系の活性化があることを同定した。 以上の事まとめた抄録を2019年のアメリカ糖尿病学会総会に投稿したところアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞系をうまく選べたことがシグナリングの解明に役立ったと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞での結果を受けて、本研究の目的の一つである、ドキソルビシンによる心臓障害への効果をマウスで検討する。 現在、アデノ随伴ウィルスを用いたリポータージーンを使った心臓障害を継時的に評価できるマウスモデルを作成、検討する予定である。出来次第、Cーpeptideを投与、効果を判定する。また、病理標本、各種蛋白定量などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度はマウスを使った実験とともに培養細胞での追加実験を行うことにより支出が増えるとともに、学会発表の旅費代の支出も予想したので、本年度は支出を抑えた。
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