2021 Fiscal Year Research-status Report
The evaluation of safety and efficacy of PCSK9 inhibitor in patients with transplant cardiac allograft vasculopathy
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18K08124
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
黒田 健輔 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 客員研究員 (70794866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心移植後 / PCSK9阻害剤 / 移植後脂質異常症 / 移植心冠動脈病変 / 筋ジストロフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心臓移植患者にPCSK9阻害薬であるエボロクマブを使用し、血清脂質値、移植心冠動脈病変(TCAV)の発症頻度、TCAVの進行予防および退縮効果を検討することであり、既に2021年3月末(本来の研究満了期間)までにおいて8症例(男性7例、女性1例、原疾患:拡張型心筋症4例、虚血性心疾患2例、筋ジストロフィー2 例)の登録が終了し、研究におけるフォローアップも終了している。エボロクマブを投与した症例は、途中に中止した症例を除き、全例でHDLc値の低下を認めない有意なLDLc値の低下を認めた。TCAVについては、血管内超音波にて最大内膜肥厚値をフォロー前後で比較しているが、左右冠動脈において有意な改善は認めなかった。本研究の目的は有効性と安全性評価に主眼を置いているが、血清脂質値の有意な改善がみられ、管理目標値の域までの血清脂質値改善には有効であることは示されたが、それがTCAVの改善にまで影響するかという点までは示すことができなかった。これについては本例の症例登録そのものが、既にTCAVハイリスク症例のみを選択していることから、選択バイアスが考えられる。また、安全性については、筋ジストロフィー症例の1例が筋肉痛の訴えにより中止希望があったため中止したが、その後再開している。現疾患から筋肉症状が出現しやすいため、エボロクマブとの因果関係に言及することは難しいが、その後再開できており投与継続においては臨床的に問題なかったと判断している。また、 虚血性心筋症の1例において、特発性血小板減少性紫斑病を発症したが、因果関係は不明であった。いずれも投与中止に至る事象でなく、心臓移植後症例、そして筋ジストロフィー症例においても慎重な経過観察の上で投与継続することはできると判断している。上記、内容・成果・本研究の意義については、2020年アジア移植学会総会にて発表・報告し、現在は論文作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
症例登録は終了しており、研究フォローアップ期間も終了している。学会発表にて研究成果について報告できているが、研究成果において論文作成中である。当初、論文作成において2020年度内において完成する予定であったが、血管内超音波検査結果の解析装置の故障などもあり、解析が滞り、論文作成ができていない点において遅れていた。 その後、2021年度においては、COVID対応もあり、詳細解析および論文作成の時間を確保することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内超音波検査結果の解析装置の修復は終了しており、登録症例全ての血管内超音波解析を実施し、論文作成を行う予定である。本研究は、心臓移植後症例を対象としたPCSK9阻害剤の投与経験をまとめるものであるが、心臓移植に限らず全ての移植後症例における脂質管理の新たな治療戦略の一つになると考えている(臓器に限らず、移植後に必要な免疫抑制剤等の管理は類似しており、その中で血清脂質管理が問題となってくる。移植後管理は臓器に関係なく、比較的共通していることが多い)。また、筋ジストロフィーに対する脂質管理の有用性を示せる点は大きいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度はCOVID禍もあり、本研究は実質進まず、COVIDに伴う延長申請を行ったため。
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