2019 Fiscal Year Research-status Report
Coiled-coil領域の重合阻害を誘導する薬剤による融合遺伝子肺癌の治療開発
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18K08132
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
佐々木 高明 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70516997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 能伸 旭川医科大学, 大学病院, 教授 (30191935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EML4 / ALK / 肺腺癌 / 単量体化 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌の原因となる遺伝子転座の一つであるEML4-ALKの分子機構について研究した。ALK分子は自己リン酸化されることでがん細胞の増殖に寄与するが、ALK活性阻害薬を長期に投与するとALK遺伝子に変異をきたし耐性を生じることが知られている。 我々の研究では、ALKと融合しているEML4タンパクに注目しその機能を解析した。 まず、ALKタンパク質の細胞内領域と、2量体形成を分子レベルでコントロールできるFKBP分子を融合したタンパクを作成し、マウスB細胞由来のIL3依存性細胞株に遺伝子導入した。この細胞に2量体誘導分子であるB/Bを加えると、細胞増殖は維持されるが、B/Bを除去した状態で細胞培養すると、増殖せずに細胞は死んでいくことをみいだし、ALKタンパクが活性を有するためには多量体化が需要であることを示した。さらにEML4分子が多量体を形成しないとALKがリン酸化されないことが分かったため、多量体を分離し単量体化することでがん細胞の増殖を抑えられる可能性を示した。 EML4のcoiled-coil領域が多量体形成に重要であることが知られているため、同部位の類似タンパク(CCペプチド)を作成し細胞に投与した。このCCペプチド投与群の細胞では、非投与群に比較し70-80%程度の細胞増殖抑制効果であった。 この治療法での欠点は、ALK自体にF1174Lと言われるALK自体が単量体でも活性を持つ変異を獲得すると無効になってしまうことが予想される。 EML4分子以外の融合タンパク質でも同様の治療戦略が可能かどうか今後検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り進んでおり、単量体化によるがん細胞増殖抑制の基礎的なコンセプトを証明した論文は出版された。 (Front Oncol. 2020; 10: 419.Published online 2020 Apr 2)
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、EML4以外の分子でも同様の効果が得られるか、また細胞内移行性を改良したペプチドの開発により治療効果を改良できるか検証していく。
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Causes of Carryover |
開発するペプチドの設計が遅れたため次年度に発注することになった。
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