2018 Fiscal Year Research-status Report
肺胞上皮細胞における転写因子LHX9の機能とCOPD病態における役割解明
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18K08134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 充啓 東北大学, 大学病院, 助教 (00396483)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | COPD |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはCOPD患者およびnon-COPD対照者の手術検体肺組織からAT2細胞を分離し、マイクロアレイ法にて網羅的に発現変動のある遺伝子群を解析し、COPD患者にて最も発現が亢進していた遺伝子として LHX9を同定していた。2018年度は、網羅的遺伝子発現解析の検証実験を実施した。まず、すでに分離・保存されていた、非喫煙者non-COPD肺癌患者、既喫煙者non-COPD肺癌患者、COPD肺癌患者(合計23症例)の手術検体肺組織からフローサイトメトリーにて分離した肺胞2型上皮細胞の凍結保存細胞より、RNAを抽出した。抽出したRNAより逆転写反応によりmRNAからcDNA を合成し、quantitative PCR法にて肺胞2型上皮細胞のLHX9の遺伝子発現強度を計測した。得られた相対的なLHX9の遺伝子発現強度と肺機能など患者の臨床背景との相関解析を行った。その結果、肺胞2型上皮細胞のLHX9の遺伝子発現は喫煙歴(喫煙指数)と正の相関を示した。一方、肺胞2型上皮細胞のLHX9の遺伝子発現は%予測1秒量および1秒率と負の相関を示していることが判明した。これらの結果は、本研究開始前の予備実験の結果と合致するものであった。さらに、気腫性変化との相関を解析するため、撮影されていた患者のCT画像を解析し、LAA(low attenuation area)の範囲を評価し、気腫性変化とLHX9の遺伝子発現との相関を解析した。その結果、肺胞2型上皮細胞のLHX9の遺伝子発現は有意ではないものの、気腫性変化の程度と逆相関する傾向を認めた。また、本年度はさらに、手術検体肺組織からフローサイトメトリーにて分離した肺胞2型上皮細胞の検体を増やすために、新規患者からの分離、保存およびRNA抽出を28例追加で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は網羅的遺伝子発現解析の検証実験を実施し、先行実験と同じ傾向を示す結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、LHX9の機能解析を行うため、siRNAを使用した細胞実験を中心に解析を進める。
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Causes of Carryover |
2018年度は網羅的遺伝子解析の確認実験のため、別コホートでの肺胞2型上皮細胞のLHX9発現解析に注力した。発現解析には共通機器&試薬を効率よく使用することができ、予想より少ない金額で解析をすることができた。一方、siRNA実験や動物実験は試薬の購入も含めまだ始まっておらず、翌年度はこれらの試薬の購入費に充当し、予定通り研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)