2018 Fiscal Year Research-status Report
PDXモデルを使用したEGFR陽性肺腺がんに対するオシメルチニブ耐性機構の研究
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18K08141
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北 賢二 金沢大学, がん進展制御研究所, 特任助手 (80625252)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PDX / EGFR変異肺がん / オシメルチニブ耐性 / 肺腺がん / SHOマウス / 分子標的薬耐性 / EGFR-TKI / 耐性変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor)変異は日本人肺がんの25~30%程度にあり、最も頻度の高い遺伝子異常である。EGFR-TKIは一旦奏効するものの、9か月~1年でほぼ例外なく耐性獲得に至る。前臨床モデルであるヒトがん細胞株を用いた研究においては、患者の腫瘍が本来有している腫瘍組織微小環境や腫瘍不均一性が欠如しており、実臨床との薬剤感受性の乖離がしばしば問題となる。そこで、PDXモデルを確立することが有効となる。 今年度は肺がん症例でPDXモデルを作製した。免疫不全であるSHO及びNOGマウス皮下に移植し、生着率を検討したところ、差がないことが確認されたため、その後SHOマウスのみを使用した。肺腺がんと診断された3例で、2継代以上継続し、PDXモデルを確立した。PDXモデルを確立できた3例の内2例(#7、#11)はEGFR変異(exon 19 deletion、L858Rそれぞれ1例ずつ)が検出された。PDX腫瘍と手術時の腫瘍をH&E染色及び免疫染色で比較したところ、継代を行うと、間質がマウス由来に置き換わっていたが、継代を繰り返しても組織型(分化度、間質量)が維持されていることを見出した。確立したEGFR変異肺がんPDX2例でオシメルチニブによる治療実験を行ったところ、#11の症例ではオシメルチニブが著効し、腫瘍が消失したため、耐性を誘導できなかった。一方、#7の症例では、約100日でオシメルチニブ耐性化に成功し、オシメルチニブ耐性PDXモデルを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、オシメルチニブ治療による耐性化は、治療効果が非常に高い為期間内にできないのではないかと危惧していた。ところが実際には、EGFR変異肺がんPDXモデルを2例確立し、1例でオシメルチニブ耐性化を誘導できた為、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
①オシメルチニブ耐性の原因を解明する。 オシメルチニブ治療前後のPDX腫瘍でがん関連遺伝子に変異がないか検討する。受容体タンパクやEMT関連タンパクの発現を検討し、耐性の原因を同定する。 ②オシメルチニブ耐性の克服 オシメルチニブ耐性化したPDXモデルを使用し、耐性の原因となっているタンパク質を阻害する治療薬とオシメルチニブの併用実験を行う。或いは他の併用法で耐性克服を検討する。
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