2022 Fiscal Year Research-status Report
サルコイドーシスにおける制御性T細胞の機能と治癒機構からみた治療法の解明
Project/Area Number |
18K08147
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
安東 優 大分大学, 医学部, 客員研究員 (20336267)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | サルコイドーシス / 制御性T細胞 / 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコイドーシスにおける肉芽腫形成過程の解析は多くなされているが、改善過程に焦点をあてる研究はほとんどない。Tregの機能が活動期では低下し回復期では改善するとの研究報告があることから、予測される結果は、改善過程ではTregの復元によるIL-10産生能の増加が予測され、その復元にはTGF-βやIL-35によるT-regの活性化が関与するのではないかと推測される。また、最近の研究では、サルコイドーシス肉芽腫形成に活性化したTh17リンパ球が集簇し、Th17と抑制的に働くTregとのバランスで肉芽腫の形成がコントロールされている可能性が示唆された。Th-17細胞膜上に発現するCCR6は、CCL-20に特異的に結合することが知られており、CCL-20は類上皮細胞肉芽腫やマクロファージに発現している。したがって、サルコイドーシスにおいては、肉芽腫やマクロファージから産生されるCCL-20を介してTh17が集簇する機序が推定され、CCL-20 は疾患活動性マーカーになる可能性がある。 本研究の目的は、新たな治療ターゲットとなるTregおよびIL-10発現細胞の疾患活動性、予後との関連を調べ、IL-10発現を予測するものと推測されるTGF-β、IL-35との関連について明らかにすることである。また、Tregと相反的に働くTh17の肉芽腫形成への関与、およびその機序についても明らかにしたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナパンデミックのため、実験する時間がとれなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)PBMC中IL-10、TNF-α、IFN-γmRNA発現とTregの発現頻度の検討:活動期サルコイドーシス10例、健常ボランティア10例からPBMCを採取する。24時間培養後1mlをリアルタイムPCR用に採取し、残りを濃縮してフォローサイトメトリーを実施し、Treg、IL-10産生細胞の発現を測定する。2)Treg分離培養し、IL-10、IL-35、TGF-βの発現をリアルタイムPCRで定量する。3)PBMC産生サイトカイン、およびTreg発現の経時的変化:診断時と3か月から6か月の2ポイントで採血し、Treg、IL-10産生細胞の頻度、IL-10、IFN-γ、TNF-αmRNA量が予後予測因子になるかを検討する。4)肺肉芽腫マウスモデルにおけるTreg機能の解析:Tregを標識したFoxP3GFPマウスを用い、肺肉芽腫モデルを作成し、Day0、Day3、Day7、Day14、Day28に血液、BALF中のTreg(GFP陽性細胞)の発現をフォローサイトメトリーを用いて測定する。活動期にはTregが賦活化され、改善期には活性化する可能性があるため、マウスモデルで活動期のDay3及び回復期のDay28にBALFを採取し、その後Tregを抽出。CTLA-4及びCD25遺伝子発現をリアルタイムPCRで定量しその発現量を比較する。
|
Causes of Carryover |
コロナ感染が広がり、診療に多くの時間がとられてしまったので、次年度への繰り越しを申請した。次年度使用額は血清、気管支肺胞洗浄液中のCCR-6とCCL-20などの測定に費やす予定である。
|