2018 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory study of urinary shedding products as a biomarker for lung cancer
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18K08148
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / 扁平上皮癌 / 尿中蛋白断片 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、従来の検診による早期発見が困難な肺扁平上皮癌を対象に、蛋白質の網 羅的末端構造解析によって同定された、癌細胞が生成する尿中シェディング産物を用いて、 臨床上有用なバイオマーカーを確立し、その病態を解析することである。 本年度は研究遂行のための臨床研究計画の策定、研究体制の構築を行った。肺扁平上皮癌を対象として診断マーカーを始め、転移予測、治療効果予測、再発予測など臨床上特に有用と思われるマーカーを探索する。必要となる患者コホートは、先行研究の経験から手術不能の進行肺扁平上皮癌患者50症例、根治的手術を実施するI期肺扁平上皮癌患者50症例と健常人50名である。研究計画は医の倫理委員会の承認を待っている。 また、前向き研究計画の策定と並行して、先行研究で収集した検体の解析を進めた。扁平上皮癌患者43症例と健常者49名の尿検体を用いた、尿中シェディング産物蛋白の網羅的解析を実施した。尿中蛋白断片網羅的解析の手法については、尿中蛋白プロファイル確認作業の簡素化、検体前処理の簡素化、作業の効率化を行い、ソフトウェアとデータベースの開発・構築などにより、高効率の解析を可能とする分析プラットフォームを確立している。患者尿において蛋白断片発現強度が、がん患者/健常者比で1.5以上、統計学的に有意に癌患者において発現強度が強い蛋白C末端断片を抽出した。これらマーカー候補蛋白のがんに対する感度と特異度からReceiver Operating Characteristics (ROC)曲線を作成し、Area Under Curve (AUC)の高い順にソートした。前述の解析にて肺扁平上皮癌においては、AUC-ROC > 0.6となる癌マーカー候補断片を58種、AUC-ROC > 0.8となる癌マーカーを20種探索した。
*本研究の成果は特許申請を念頭にしているため、現時点で学会や論文の発表は行っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は前向き臨床研究計画を立案、倫理申請するとともに、先行研究で収集した検体のデータ解析を実施することができた。肺扁平上皮癌の診断に関して感度・特異度ともに優れたマーカー候補断片を探索することができ、当初の予定通りに研究は進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、研究計画を大幅に変更する必要は生じていない。前向き臨床研究が実施されれば患者登録の状況に応じて、研究協力施設を適宜、増やしていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度から施行された臨床研究法の影響もあり、前向き臨床研究の策定に当初の予定よりも時間を要し、前向き研究の開始が予定よりも遅れたため次年度使用額が生じた。もともと前向き臨床研究に必要な経費として計上しているので、臨床研究開始と症例集積の進捗によって助成金は当該助成金と翌年度分ともに執行することができる。
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