2018 Fiscal Year Research-status Report
ST2陽性Th2細胞に着目したステロイド抵抗性喘息の病態解明と新規治療の展望
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18K08152
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
間藤 尚子 自治医科大学, 医学部, 准教授 (80406149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平原 潔 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (00707193)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インターロイキン33 / ST2 / ステロイド抵抗性 / リモデリング / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、気道上皮細胞から産生されるインターロイキン33(IL-33)が好酸球性炎症を惹起することを示し、マウスを用いて①その機構の中心的細胞であるIL-33受容体(ST2)陽性Th2細胞の機能とステロイド抵抗性、②炎症に続く線維化(リモデリング)への関与を検証し、更には③ヒト肺検体でST2陽性Th2細胞を同定することを目的とした。 【マウスモデルを用いた検討】我々は千葉大学免疫発生学講座との共同研究により、マウスの肺には恒常的にST2を発現するTh2細胞が常在し、IL-33の刺激により好酸球性炎症を直接的に惹起する事を免疫不全マウスにTh2細胞を移入する系を用いて証明した。さらにこのST2陽性Th2細胞はCD44high CD62LlowCD69highより組織常在型かつ記憶型T細胞のフェノタイプを示し、ステロイド存在下でも細胞数、サイトカイン産生ともに低下せずステロイド抵抗性を示す事を明らかにした。その機序としてIL-33によりMAPKが活性化されることから、p38を介して細胞内のステロイド受容体を阻害する機序が想定された。さらに線維化への関与ではST2陽性T細胞に加えてAmphiregulin産生CD103陽性T細胞が出現し、後者がより線維化に寄与することが示され更にRNA seqを行い機能解析を進めている。 【ヒト肺検体を用いたST2陽性Th2細胞の検討】では、当学の倫理委員会で承認を得て(承認番号:遺18-変01)、我々は間質性肺疾患で手術をした症例の肺検体の一部を採取し、免疫染色でST2陽性Th2細胞の同定を開始した。ST2陽性Th2細胞は予備実験において慢性過敏性肺炎における気道周囲の集積が確認され、現在症例を蓄積し検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【マウスモデルを用いた検討】は千葉大学免疫発生学講座との共同研究で進行しているが、申請者が自治医科大学所属であり 遠隔地での実験のため、日程の都合等で物理的な遅れを生じている。 【ヒト肺検体を用いたST2陽性Th2細胞の検討】 当学の倫理委員会で承認を得て順調に解析を開始したが、ST2陽性Th2細胞の発現が見込める免疫機序を介した線維化を認める症例は一部であり、さらなる症例の集積が必要である。またST2抗体の染色性がやや弱く、最適な抗体について再度検証する。
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Strategy for Future Research Activity |
【マウスモデルを用いた検討】は千葉大学免疫発生学講座との共同研究で進行しており、研究分担者の平原に助力を仰ぎ、研究の推進を図る。 【ヒト肺検体を用いたST2陽性Th2細胞の検討】 予め間質性肺炎と診断されていない症例でも喫煙者や何らかの抗原暴露者では気道周囲には早期変化を呈している場合もあり、さらなる症例集積のため当院呼吸器外科に協力を依頼し当院で肺切除を行った症例から遍く肺組織を採取するように運用を変更し、症例の集積を推進する。また抗体の最適化を病理学講座とも相談し進める。
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Causes of Carryover |
購入予定であった顕微鏡を他資金より捻出可能であったため物品費が想定よりも減少した。次年度には繰越金を用いて免疫染色、フローサイトメトリーの抗体購入、肺組織検体の輸送用の物品、試薬を購入し、移送費も計上される予定である。
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Research Products
(2 results)