2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト腸内細菌移植マウスを用いた肥満合併重症喘息の解明
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18K08155
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福永 興壱 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (60327517)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難治性喘息 / 肥満 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回申請者は肥満合併喘息患者の腸内細菌叢が喘息病態に与える影響について着目し、肥満喘息患者の腸内細菌を無菌マウスに移植しその喘息反応の違いを検討することを立案しIL-33誘導性自然免疫喘息モデルマウス(以下自然免疫喘息マウス)を作成し、高脂肪食と通常食を摂取させ比較検討する予定であった。しかし、前年度の結果として、通常食摂取をしたマウスと比較して高脂肪食摂取肥満マウスは好酸球性炎症が抑制され、同社で販売している低脂肪食を用いて同じ実験を行ったところ、同様に好酸球性炎症は抑制されたことが明らかになった。さらに通常食を用いて同様の実験を行ったところ好酸球性気道炎症は抑制されずに炎症の悪化を認めた。 このため計画を変更し、この然免疫喘息マウスにおける食物を通じておきた炎症抑制の機序について検討を行った。 そこでまず通常と脂肪食の餌の成分の違いについて精査したところ通常食には穀物食としての成分が多く含まれていることがわかった。これらの成分の中で我々は成分Aについて着目をして研究を進めることとした。さらに併せて通常食と脂肪食の餌を与えたマウスにおける腸内細菌の解析を行った。その結果Aの代謝に関連する細菌(属)が増加しており、また予測メタゲノム解析ではその代謝に関わる経路が上昇していることが明らかとなった。 このことから穀物食に含まれる成分Aが代謝されてできるA’がIL-33誘導性気道炎症抑制に関わる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満が喘息に与える影響と食物さらには腸内細菌との関連を明らかにするために、今年度は高脂肪食摂取による肥満マウスを作成し自然免疫による喘息マウスモデルを用いて検討を行う予定であった。しかし、脂肪食ではなく他の要因によって自然免疫喘息マウスの好酸球性気道炎症が抑制されたことから、食事成分によるアレルギー炎症の抑制の期待と新たな抑制分子の探索に方向性を切り替え概ね順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回肥満が喘息に与える影響を検討するために研究を開始したが、自然免疫喘息マウスにおいて脂肪含有の違いによる好酸球性気道炎症の差は認めず、他に抑制系が働くことが考えれた。そこで通常食と脂肪食の成分の違いから、成分Aの可能性について検討したところ、成分Aの代謝産物が自然免疫喘息マウスに抑制的に働いている可能性を腸内細菌の探索によって明らかにした。今後血中、肺内におけるこの代謝産物の存在あるいは標的細胞について明らかにしていく予定である。
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