2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K08158
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (90468679)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / リソソーム / リソファジー / ガレクチン3 / TRIM16 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、喫煙刺激がリソソーム傷害とリソファジー、さらに細胞機能に与える影響を検討した。正常肺組織から分離培養した気道上皮細胞を用いた。タバコ抽出液(CSE)(2h)で刺激し、リソソームへのガレクチン3の集積でリソソーム膜透過性亢進(LMP)を評価し、陽性コントロールとしてはLeu-Leu methyl ester hydrobromide(LLOMe)を使用した。CSE刺激は、LLOMe刺激と同様にLAMP1へのガレクチン3の集積を誘導した。CSE刺激はpH indicatorであるLysoTracker Red染色で見るリソソーム酸性化能の低下を誘導し、さらに細胞老化とともにリソソーム機能低下指標の一つとなるリポフスチンの蓄積を誘導した。以上よりCSE刺激はリソソーム傷害を誘導する可能性が示された。 CSE誘導性リソソーム傷害に対するリソファジーの役割を明らかにするために、siRNAを用いてTRIM16ノックダウンを行った。TRIM16ノックダウンによりCSE刺激によるGFP-LC3のドット形成、つまりオートファゴゾーム形成は明らかに抑制された。つまりTRIM16がCSE刺激によるオートファジー/リソファジー制御に関することが示された。さらにTRIM16ノックダウンにより、p-EGFR分解アッセイや、LysoTracker Red染色で評価するリソソーム機能の低下が示された。つまりリソファジーによる傷害リソソームの分解がリソソーム機能維持に必要であることが示された。TRIM16ノックダウンはCSE刺激によるDNA傷害、細胞死を亢進させることも示された。 以上検討から、喫煙刺激がリソソーム膜傷害を誘導すること、TRIM16依存性リソファジーが傷害リソソーム分解によりリソソーム機能と細胞機能の維持に関与する可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、目標としていたin vitroの系における喫煙刺激とリソソーム傷害、さらにはリソファジーの関与が明らかにできた。さらに詳細なリソファジーの機序や、実際のCOPD病態における役割の解明は来年以降の課題ではるが、初年度の進捗状況としては、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、実際のCOPD患者分離気道上皮細胞や、COPD肺検体自体を用いて、リソソーム機能、TRIM16依存性リソファジーの状況を明らかにする必要がある。具体的には正常、喫煙非COPD患者、COPD患者由来の気道上皮細胞および肺ホモジネートを用いて、➀ リソソーム機能:リポフスチン、LysoTracker Red染色、p-EGFR分解アッセイ、蛋白凝集体。②リソファジー:ガレクチン3発現、TRIM16発現を評価する。さらにこれらの機能異常と呼吸機能やHRCT所見との関連性を明らかにする。我々のプレリミナリーな検討ではCOPD患者やにおけるガレクチン3発現亢進とTRIM16発現低下が示されており、リソソーム傷害とリソファジー低下が示されている。TRIM16発現低下したCOPD気道上皮細胞に、TRIM16強制発現することにより、リソソーム機能や、細胞死及び細胞老化に与える影響を、特にCSE刺激時に検討することも計画している。 マウスモデルを用いた検討も計画しており、野生型マウスで6か月間喫煙暴露モデルを使用する。喫煙暴露によるCOPD病変の検討に加え、リソソーム機能やリソファジーを評価する。
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Research Products
(1 results)