2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞とスタチン製剤を用いた間質性肺炎マウスに対する治療効果の検討
Project/Area Number |
18K08160
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
小谷 卓矢 大阪医科大学, 医学部, 講師 (80411362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊井 正明 大阪医科大学, 研究支援センター, 講師 (10442922)
朝井 章 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30622146)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 間質性肺炎 / スタチン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪組織由来間葉系幹細胞(AdSC)移植とスタチン製剤を併用し、ブレオマイシン誘発IP(BLM-IP)モデルマウスにおいて機能的な抗炎症・抗線維化作用を検討した。 シンバスタチンPLGAナノ粒子抱合AdSC(SimNP-AdSC)は、50 ug/50000細胞のシンバスタチン濃度において、AdSCの遊走能を最も促進し、有意差を持ってAdSCの生存率を向上させた。AdSCの増殖は増やさなかった。 次に、C57BL/6マウスにBLMを1週間osmotic mini pumpで持注することで作成したBLM-IPマウスに対する移植実験を行った。AdSCはBLM持注終了後(day 7)に尾静脈より単回投与した。治療群は以下の様に設定した:1) コントロール (BLM-IP単独), 2) NP-AdSC (細胞数25000) 3)SimNP-AdSCs (細胞数25000)移植群。BLM開始4週間後に肺組織を評価したところ、コントロールと比較して、SimNP-AdSC移植群で炎症細胞(Tリンパ球、マクロファージ、好中球)の浸潤と肺の線維化が有意に抑制されていた。肺組織における炎症性サイトカイン(IL-4, IFN-γ, TNF-α)と線維化因子(COL1A1, TIMP1)の遺伝子発現は、コントロールと比較して、SimNP-AdSC移植群で有意に抑制されていた。以上の結果より、SimNPは、AdSCの細胞の機能を高め、IPモデルマウスに対する治療効果を増強させる効果があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スタチンナノ粒子を抱合させた脂肪幹細胞(AdSC)は、その細胞機能が高まる事が評価できた。シンバスタチンPLGAナノ粒子抱合AdSC(SimNP-AdSC)を間質性肺炎モデルマウスに移植したところ、無治療群と比較して治療群で有意に肺の炎症・線維化が抑制されており、Vivoによる治療効果を確認できた。 また、炎症細胞の免疫染色、定量PCRの手法を用いることで、肺組織におけるSimNP-AdSCの抗炎症及び抗線維化効果を確認した。 以上、in vitro, in vivoとも当初の研究計画に従い順調に研究が進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
AdSCが産生する抗炎症因子を、in vitroでスタチンを併用する群としない群で比較検討する。 B6をバックグラウンドとしたβ-ガラクトシダーゼを発現するトランスジェニックマウス(Rosaマウス)を既に飼育している。Rosaマウス由来のmAdSCはβ-ガラクトシダーゼを組織学的に免疫染色することで、肺組織へのmAdSCの集積と関与が解析できる。こちらも、シンバスタチンPLGA粒子抱合mAdSC移植群と通常のmAdSC移植群で比較検討する。
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Causes of Carryover |
今年度はvivoの動物実験が主であり、研究仮説通りに実験が進行できたため、当初の必要額を下回ったことが考えられた。 次年度には、治療効果を蛋白レベルで解析する予定であり、ELISA用の抗体の購入、Rosaマウスの購入・継代など当初予定を上回る費用を要すると考えている。 また、得られた結果を国際学会で発表を予定しており、次年度に費用を多く検討している。
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