2019 Fiscal Year Research-status Report
HLA領域のムチンMUC22遺伝子とアジア人の非嚢胞性線維症性気管支拡張症の検討
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18K08163
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Research Institution | 公益財団法人結核予防会 結核研究所 |
Principal Investigator |
土方 美奈子 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 生体防御部, 部長 (90332387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
慶長 直人 公益財団法人結核予防会 結核研究所, 副所長, 副所長 (80332386)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | びまん性汎細気管支炎 / 副鼻腔気管支症候群 / 非嚢胞性肺線維症性気管支拡張症 / ムチン遺伝子 / 遺伝バリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、ヒト6番染色体のびまん性汎細気管支炎(DPB)疾患感受性候補遺伝領域内に新規ムチン遺伝子PBMUCL1(MUC22)・PBMUCL2をクローニングしたが、HLA領域に特有の連鎖不平衡状態とムチン遺伝子の長いリピート配列のため、従来のサンガーシークエンス法では解析に限界があった。MUC22はHLA領域で最もバリアントに富む遺伝子として注目されており、PBMUCL2にも近年新しい機能の報告がされている。本研究では、MUC22を中心とする領域の遺伝的多型が、アジア人の非嚢胞性肺線維症性気管支拡張症や近年急増する肺非結核性抗酸菌症など、様々な疾患と関連しているのではないかと考え、我々が既に集めた日本人のDPBを含む検体とベトナム人の副鼻腔気管支症候群検体の2か国のパネルで新しいシークエンス技術で再解析し、国際比較することにより、疾患関連候補領域をさらに狭めて、アジア人に特有の気道脆弱性に関わる遺伝的素因を明らかすることを目指している。 初年度にイルミナの短鎖シークエンサーを用いてDPB疾患感受性候補遺伝領域の中の約120 kbのターゲット領域のリシークエンスを行い、120kbの領域中でリピート配列のためにバリアント解析が困難で、長鎖シークエンサーによる解析が必要とされる領域を抽出した。今年度は、抽出された領域を約10 kbのlong PCRで増幅し、サンプルごとにインデックスを付加したライブラリーを作成し、Oxford Nanopore社のGridIONシークエンサーを用いて長鎖シークエンスを行った。得られたリードのほとんどがPCR産物と同じ10 kbの長さを有しており、PCR増幅産物の配列を1本のシークエンスとして得て、変異解析とハプロタイプ解析をすることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析対象とするゲノム領域をlong PCRで増幅してOxford Nanopore社GridIONシークエンサーでシークエンスを行うターゲットリシークエンス系の構築ができた。今後解析費用のコストダウンを行うためにはいくつか改善が必要な点があり、使用するインデックスとフローセルの検討をさらに行う。また、Nanoporeシークエンサーデータの解析は、今年度はCLC Genomics Workbench version 20 (キアゲン)を使用したが、参照配列のhg38と長さの異なるリピート領域のマッピングに問題があり、それぞれの検体のHLA型に合わせた参照配列の選択が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、長鎖型のOxford Nanoporeシークエンサー(GridION)と短鎖型のイルミナ社MiSeqシークエンサーから得られたデータをあわせ、日本人のDPB患者検体とベトナム人の副鼻腔気管支症候群患者、さらに両国の健常人検体を解析して、今まで日本人集団の中だけでは絞り込めなかった疾患感受性領域をより狭めて、機能的に重要と思われる遺伝バリアントとハプロタイプを明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
Oxford Nanoporeシークエンサーの購入価格の変動により予定額と使用額に差が生じ、1回分の試薬消耗品相当額を次年度使用に持ち越して、改善した条件でのシークエンスを行うこととした。
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