2018 Fiscal Year Research-status Report
脂肪酸組成の制御に着目した難治性喘息に対する新規治療法の開発
Project/Area Number |
18K08168
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森島 祐子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10375511)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アレルギー性気道炎症 / 脂肪酸組成 / 長鎖脂肪酸伸長酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質の負荷が喘息の発症、重症度、治療抵抗性に寄与することは知られているが、その関連を裏付ける分子病態は明らかではない。そのため、本研究ではC12-16の飽和/一価不飽和脂肪酸の伸長活性を有する長鎖脂肪酸伸長酵素 Elongation of long-chain fatty acids family member 6 (Elovl6)に注目し、アレルギー性気道炎症におけるElovl6の役割を検討することを目的に実験を行った。 今年度はまず、Elovl6が欠損することで、アレルギー性気道炎症の程度に変化が生じるか検証した。8~12週齢の野生型C57BL/6系マウス (WT)、Elovl6欠損型C57BL/6系マウス (Elovl6 -/-)の雌を実験に用いた。アレルギー性気道炎症モデル作成のため、day 0とday 14に100 μgの卵白アルブミン (OVA)を皮下感作し、day 28に10 μgのOVAを経鼻曝露した。OVA最終曝露48時間後にBALF中の総細胞数、細胞分画と肺組織での炎症の程度を評価した。 OVA免疫Elovl6 -/-群ではWT群と比べ有意にBALF中の総細胞数、好酸球数、好中球数が増加し、肺組織で炎症細胞の気管支血管周囲領域への著明な浸潤、杯細胞の増加を認めた。 以上より、Elovl6欠損下では、OVA免疫で誘導される好中球性気道炎症、好酸球性気道炎症、杯細胞の過形成が増強することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の結果、Elovl6欠損により、アレルギー性気道炎症の増悪がもたらされることが明らかになった。次年度以降はそのメカニズムを探索する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、Elovl6はアレルギー性気道炎症の程度に影響を与えることが示された。今後は、Elovl6欠損が、アレルギー性気道炎症モデルの気道組織や肺組織の脂肪酸組成にどのような変化を与えるかを検討する。また、肥満に関連する喘息にはNLRP3インフラマソームの関与が指摘されており、本モデルでもそのメカニズムが介在するか検証する。
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