2018 Fiscal Year Research-status Report
肺線維芽細胞の特殊性に基づいた呼吸器疾患の病態理解
Project/Area Number |
18K08170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 朗 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (90591412)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺線維芽細胞 / 肺線維症 / 転写因子 / RNAシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な臓器由来の線維芽細胞のCAGEプロファイルの比較解析を行い、肺の線維芽細胞で特徴的な発現を示す88遺伝子を同定した。このうち8個の転写因子(TBX2, TBX4, TBX5, FOXL1, FOXP1, MEIS1, TGIF1, HOXA5)がスーパーエンハンサー領域と重なっていた。T-boxファミリー転写因子、とくにTBX4に着目して機能解析を行った。TBX4をノックダウンした肺線維芽細胞でRNAシーケンス解析を行い、TBX4がスーパーエンハンサー関連遺伝子群を広汎に制御しうることを見出した。また肺線維芽細胞をTGF-βで刺激すると、TBX2・TBX4・TBX5の発現が抑制された。したがってTGF-β刺激により、T-boxファミリー転写因子により構成されていたスーパーエンハンサー群が、全ゲノムレベルで変化すると想像された。以上の知見より、TGF-βシグナルが活性化している肺癌や肺線維症の疾患病態において、T-boxファミリー転写因子の発現低下が、肺線維芽細胞の活性化と表裏一体をなす可能性があると考えられた(Horie M, Miyashita N et al. Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2017)。 次にForkhead型転写因子であるFOXL1の解析を始め、定量的PCRにより肺線維芽細胞での高発現を確認した。胎児由来肺線維芽細胞(HFL1)および成人肺腺芽細胞(NHLF)においてFOXL1をノックダウンし、RNAシーケンスによる網羅的な発現解析を行った。さらにヒト肺組織における蛋白レベルでの発現の確認、病的意義の探索のため、正常肺および肺線維症患者由来の肺組織におけるFOXL1の免疫組織化学染色の条件検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FOXL1の免疫組織化学染色において、抗体の選択・条件検討などで時間を要した。実験をくりかえし行い、その結果を慎重に解釈する必要があった。 肺線維芽細胞におけるFOXL1ノックダウンにより発現変動を示す遺伝子群が、HFL1(胎児由来)とNHLF(成人)では共通点も見られたが相違点も多くみられた。両者の細胞でFOXL1ノックダウンによる細胞増殖抑制が認められた。胎児肺の器官形成および成人肺のホメオスターシス維持、呼吸器疾患の病態形成において、FOXL1が何らかの機能を有するものと考えられた。 FOXL1を発現するレンチウイルスベクターの作成を行ったが、サブクローニングが想定以上に難航した。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維芽細胞(HFL1およびNHLF)においてFOXL1ノックダウンにより共通して発現低下がみられる遺伝子群のうち、呼吸器疾患の病態と密接に関連しうる機能的に重要な因子を複数同定した。FOXL1の機能解析として、siRNAによるノックダウンおよびウイルスベクターによる過剰発現のモデルを用い、細胞増殖・生存・遊走・コラーゲンゲル収縮などへの効果を検証する。FOXL1により発現制御を受ける遺伝子群の発現変化を定量的PCRやウエスタンブロットで確認する。肺線維症などの呼吸器疾患患者由来の肺組織におけるFOXL1の発現を免疫組織化学染色で検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画が遅れている
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[Journal Article] An Integrative Analysis of Transcriptome and Epigenome Features of ASCL1-Positive Lung Adenocarcinomas.2018
Author(s)
Miyashita N, Horie M, Suzuki HI, Yoshihara M, Djureinovic D, Persson J, Brunnstrom H, Lindskog C, Elfving H, Micke P, Saito A, Nagase T.
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Journal Title
J Thorac Oncol
Volume: 13(11)
Pages: 1676-1691
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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