2018 Fiscal Year Research-status Report
肺上皮細胞における転写因子の加齢性機能低下とCOPDの発症様式との検討
Project/Area Number |
18K08176
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 篤靖 京都大学, 医学研究科, 助教 (30706677)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | C/EBPα / COPD / 喫煙曝露 / 線毛上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は酸化ストレス、アポトーシス、プロテアーゼ活性亢進を伴い、気道リモデリングと肺胞破壊による不可逆性換気障害を呈し対症療法以外の治療はない。先行研究において肺上皮細胞のみでアンチセリンプロテアーゼ活性の低下するC/EBPαコンディショナルノックアウトマウスを用いて慢性喫煙暴露実験を行い末梢気道周囲のプロテアーゼ活性の亢進と気道線毛上皮数の減少、肺胞壁の断裂を認め、これらがアンチセリンプロテアーゼにより予防可能であることを示した。さらにヒトCOPD肺標本においても細気管支のプロテアーゼ活性の亢進を証明した。このことからC/EBPαの肺上皮にける重要性が示され、恒常性を担うことが示された。このような働きが個体老化と共に低下する事を示すべく、C/EBPαKOマウスと野生型をさらに老齢マウス群と若年マウス群を作成し半年間の喫煙曝露を行い、表現型を観察した。野生型の老齢マウス群では喫煙後に線毛上皮細胞数が有意に低下した。またC/EBPαKOマウス群では加齢に関わらず線毛上皮細胞数は喫煙により減少した。これらの結果はC/EBPαの機能は加齢と共に低下する可能性を示唆する。また、老齢マウスにおけるナフタレン肺傷害モデルにおいても線毛上皮細胞の再生が低下する事を確認した。 病理全肺結合画像を撮影し、デジタル処理を行い、気腔などを鑑別するプログラムのアップデート版を作製した。同時に肺組織完全像の撮影を目指してハインツマン固定を確立し、マイクロCTによる撮影を進めて概ね良好な画像の獲得に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル取得まで半年間の長期間を要するが順調に獲得できている。現在は病理表現型の解析を行い近日に終了予定であり、初年度の目標は概ね達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って進めていく。概ね変更なく行える予定である。唯一の不安点としてC/EBPαの抗体が販売中止となり、クロマチン沈降を行える抗体の選出に時間と経費を要する懸念がある。
|
Causes of Carryover |
現在評価予定の免疫染色に用いる抗体の購入に使用する予定
|