2018 Fiscal Year Research-status Report
血中遊離RNAと分子バーコード技術を用いた高感度・高精度融合遺伝子検出法の確立
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18K08177
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 英里奈 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90723891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Liquid biopsy / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織FFPE検体由来DNAを用いたがんのクリニカルシーケンスが実際に臨床で行われるようになりつつある。その中で、シーケンス検査に適した質の良い組織検体を得ることの困難さや、治療標的として重要である融合遺伝子の検出効率の低さはしばしば問題となっている。本研究では、低侵襲に得られる血液中に含まれると考えられる血中遊離RNAを用い、融合遺伝子検出などの新たなLiquid biopsy検査の開発を目指して検討を行っている。 平成30年度は、まず血液検体からのRNA抽出方法について検討を行なった。市販の複数のキットを用い、抽出の前処理などの条件を変えて比較を行なった。この結果を踏まえ、本研究ではcell debrisを除去した上で、exosomeやmicrovesicle内のRNAと遊離RNAの両方を抽出する方法を採用することとした。次に、標準サンプルおよび実際の臨床検体を用いて、シーケンスおよび情報解析手法の最適化に取り組んだ。数mLの血漿から得ることのできるRNAは組織を用いた場合と比較すると非常に少ないが、微量なサンプルからもシーケンスライブラリを作製できることが確認された。実際に腫瘍組織で融合遺伝子陽性であった肺がん患者由来の血液検体を用いて解析を行なっているが、いずれのサンプルにおいても融合遺伝子を検出することができなかったため、解析アルゴリズムの改良に取り組んでいる。さらに平成30年度は新学術「先端ゲノム支援」に採択されたため、血中遊離RNAの網羅的なシーケンス解析にも取り組んだ。組織由来のRNAを対象とした従来のプロトコルを改変することでシーケンスライブラリを作製することが可能となり、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、解析の条件検討等を順調に遂行できている。また先端ゲノム支援により、より挑戦的な検討も行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
解析手法の改良を行い、血液検体からの融合遺伝子検出法の確立を目指す。また血中遊離RNAの網羅的解析により、新たな血液バイオマーカーの探索を行う。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 当初の見積よりもシーケンス解析のコストが低く抑えられたため。 (使用計画) 新たなデータ取得のためにシーケンス解析を行うとともに、得られた研究結果に関する成果報告を行うために使用する予定である。
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