2019 Fiscal Year Annual Research Report
血中遊離RNAと分子バーコード技術を用いた高感度・高精度融合遺伝子検出法の確立
Project/Area Number |
18K08177
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高井 英里奈 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90723891)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Liquid biopsy / RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織FFPE検体由来DNAを用いたがんのクリニカルシーケンスが実際に臨床で行われるようになってきている。その中で、シーケンス検査に適した質の良い組織検体を得ることの困難さや、治療標的として重要である融合遺伝子の検出効率の低さはしばしば問題となっている。本研究では、低侵襲に得られる血液中に含まれると考えられる血中遊離RNAを用い、融合遺伝子検出などの新たなLiquid biopsy検査の開発を目指して検討を行ってきた。 2019年度は、血中遊離RNAの網羅的なシーケンス解析を中心に検討を行なった。28例の肺がん患者由来の血漿から、cell debrisを除去した上で、exosomeやmicrovesicle内のRNAと遊離RNAの両方を抽出できる方法を用いてRNAを抽出した。組織由来RNAを対象とした従来のRNAseqライブラリ作製のプロトコルを改良して、血漿由来RNAを用いてライブラリを作製し、Illumina HiSeqを用いてシーケンスを実施した。得られたシーケンスデータを用いて発現解析を行なった。発現量の差の大きい遺伝子群を用いてクラスタリングを行なったところ、病態や治療に特徴的な遺伝子発現変化が示唆された。現在、がんのLiquid biopsy研究の中心は血中遊離DNA (cell-free DNA; cfDNA) の解析であり、臨床応用に向けた取り組みも進んでいる。cfDNAから解析可能なものはがんの遺伝子変異であるが、血中遊離RNAの解析によってがん細胞および微小環境の遺伝子発現の変化を非侵襲的に解析することができる可能性があり、新たなLiquid biopsyの手法として有用であると考えている。
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