2019 Fiscal Year Research-status Report
上皮内因子が指揮する組織幹細胞ニッチ機構を焦点とした喫煙関連肺疾患の病態解明
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18K08179
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
柳 重久 宮崎大学, 医学部, 助教 (60404422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 彩子 宮崎大学, 医学部, 医員 (40776332) [Withdrawn]
坪内 拡伸 宮崎大学, 医学部, 助教 (60573988)
松元 信弘 宮崎大学, 医学部, 助教 (70418838)
三浦 綾子 宮崎大学, 医学部, 研究員 (70710903)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内因性幹細胞ニッチ機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患と特発性肺線維症におけるII型肺胞上皮(AT2)内分子の意義を、組織幹細胞ニッチを制御する細胞老化/細胞移動調節機構という独創的な観点から解明し、両疾患に対する治療戦略を創出することが本研究の目的である。本年度はタモキシフェン誘導性AT2特異的Pten欠損マウス(SftpcCreERT2:Ptenfloxマウス)を用い、下記の解析を行った。単離AT2と単離肺間葉細胞を用いたpopulation RNAシーケンス解析の結果、若年(16週齢)のAT2特異的Pten欠損マウスではAT2のみならず、肺間葉細胞でも遺伝子発現が著明に変化していることが明らかになった。単離AT2での肺胞上皮前駆細胞マーカー発現と、単離肺間葉細胞でのニッチシグナル発現が野生型と比較し変化していた。高齢(12か月齢)のAT2特異的Pten欠損マウスは肺気腫を自然発症すること、気管支肺胞洗浄液中のマクロファージ増加がみられること、約70%のマウスが肺腺癌を自然発症することを明らかにした。肺胞ニッチ細胞(mesenchymal alveolar niche cell: MANC)の標識に必要なPdgfra-EGFPマウス, Axin2-TQマウスについて、動物実験計画書の承認を得た。それぞれのマウスを導入し交配を開始した。慢性閉塞性肺疾患と特発性肺線維症症例の病態における肺胞前駆細胞の機能と制御分子に関する横断研究について当施設の医の倫理委員会の承認を得た。来年度以降、AT2の細胞老化の有無、AT2でのミトコンドリア機能、単離肺間葉細胞のシングルセルRNAシーケンス解析、臨床試験を進捗する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にあるように研究計画はほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) AT2特異的RhoA/Ror2/Pten欠損マウスの細胞老化/マイトファジー解析: AT2特異的RhoA/Ror2欠損マウス各々の16週齢と12か月齢の肺組織を用い、老化細胞をβ-ガラクトシダーゼ活性染色(SA-β-GAL)で評価する。ミトコンドリア形態異常を電子顕微鏡で、ミトコンドリア機能を細胞外フラックスアナライザーで各々解析する。SASPについて肺組織でのF4/80とIL6発現、単離AT2の核内NFκB/RELA, IL17, MIF, IL15のmRNAにて評価する。AT2内のマイトファジーをLC3, ATP synthase, p62発現で, シグナル分子動態をp27, p53, PINK1発現で評価する。 (2) AT2特異的RhoA/Ror2/Pten欠損によるニッチ細胞シングルセル解析とAEP-MANC間距離解析: 肺間葉細胞を単離し、シングルセルRNA-seqにより、AT2内RhoA/Ror2/Pten欠損が与えるニッチ細胞構成の変化を解析する。またAxin2TQ:PdgfrαEGFPマウスを交配し、TMX誘導性かつAT2特異的にRhoA/Ror2/Ptenを欠損かつMANC(Axin2+;PDGFR+)とAMP(Axin2+)が系統標識されるマウスを作製する。MANC数とAMP数をFACSで解析する。三次元的共焦点画像解析により、AEPとMANCの核間の距離を測定する。 (3) IPF/COPD肺組織の細胞老化/細胞骨格制御因子発現と重症度との関連性: 肺腫瘍手術予定のIPF/COPD/喫煙者/非喫煙者(各10例)よりAEPを単離する。PTEN, RhoA, Ror2の発現レベルを測定する。各分子発現と肺胞オルガノイド形成能、%努力性肺活量、胸部HRCTでの肺気腫(COPD)/蜂巣肺(IPF)面積との関連性を解析する。
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Causes of Carryover |
遺伝子組換えマウスの繁殖状況により、12か月齢の解析を2020年度に行うことになったため。2020年度に遺伝子組換えマウスの解析に用いる。
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