2019 Fiscal Year Research-status Report
小細胞肺癌における抗癌剤耐性の克服を目指したネスチンを基軸とする診療戦略の開発
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18K08181
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
前野 健 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (10444952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小栗 鉄也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (60363925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 抗癌剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌はここ約30年間にわたり治療成績の進歩がなく、抜本的な治療戦略の見直しが必要な疾患である。2019年度に抗癌剤と免疫チェックポイント阻害剤の併用療法が標準治療として行えるようになったが、生存期間の延長効果はわずかであり、依然として新たな治療戦略の確立が強く望まれている。そこで我々は、抗癌剤耐性化の克服が新たな治療戦略の確立へ繋がると考え、その関連分子として神経幹細胞マーカーであるネスチンを報告した。その臨床応用に向けた研究計画を立案し、現在も研究を進めている。 基礎的研究に関しては、小細胞肺癌におけるネスチン発現による抗癌剤耐性化の誘導メカニズムの解明に向けた研究を中心に進めている。DMS53小細胞肺癌細胞株とそのネスチン発現抑制株を用いたマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、関連遺伝子を数個抽出できている。現在はそのうちの2遺伝子について肺癌細胞株を用いた更なる分子生物学的解析を行っており、ネスチンによる抗癌剤耐性化誘導におけるkey moleculeの同定を現在の最優先課題として研究を進めている。 臨床研究に関しては、前向き観察研究として所属施設の医学系研究倫理審査委員会の承認を得た。目標症例数を小細胞肺癌20症例としているが、現時点で約6割の症例集積を終えている。患者同意の取得および個人情報の管理も適切に行えている。臨床データおよび臨床検体の経時的保存も概ね順調に進んでおり、あと1年間で目標症例数へ到達可能と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネスチンによる抗癌剤耐性化誘導の関連遺伝子に関しては、当該年度、1つの候補遺伝子を中心に基礎的研究を進めていたが、最終的には関係性に乏しいと判断した。そのため基礎的研究の進行がやや遅れている。なお臨床研究に関しては、概ね計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究に関しては、あと1年で症例集積を終えてデータ解析へ移行する方針である。基礎的研究に関しては、ネスチンによる抗癌剤耐性化誘導のkey molecule同定を最優先に進める方針である。
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Causes of Carryover |
臨床研究用のELISAキット購入が行えなかったこと、および基礎的研究の遅れにより関連物品の発注が遅れていることが主因である。予定している研究は次年度に順次使用していく。
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