2023 Fiscal Year Annual Research Report
Emotional neural network and its association with reduced physical activity in COPD
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18K08186
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 教授 (20398697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
政岡 ゆり 昭和大学, 医学部, 准教授 (70398692)
吉川 輝 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (90737355)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COPD / 機能的磁気共鳴画像 / 接続性解析 / うつ病傾向 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、呼吸機能低下だけでなく、栄養障害や心血管疾患など多種の病態を合併することが知られている。これらの合併症の有無は、身体活動の制限や予後の悪化に影響を及ぼし、抑うつや不安症状など、高い合併率を示す精神症状に対する治療アプローチも喫緊の課題である。呼吸器疾患と脳の関係に着目した研究では、呼吸機能の低下に伴う特定の脳体積の減少が示されており、また精神疾患を対象とした研究においても、特定の脳体積の減少と症状悪化の関係が指摘されている。これまで呼吸機能と脳機能、精神疾患の関係について多くの研究があるが、それらは主に二項目間での検討に留まり、三項目以上の関係を同一サンプルで解析した研究は報告されていない。本研究では、COPD患者と健常者を対象として、呼吸機能と脳機能、精神疾患の因果関係を明確にするために、これら三項目の関係性を同時に解析し、呼吸機能と精神疾患傾向の間に介在する脳部位の特定を目的とした。そこで、COPD患者19名と健常者24名の呼吸機能、MRIによる脳部位の局所体積、精神疾患アセスメントのデータを収集し、両群のデータを個別にパス解析した。その結果、COPD患者群では対標準1秒量の低い患者ほど脳梁膝部の体積が減少し(r = 0.503、p = 0.014)、その体積の減少がうつ病傾向の上昇(r = -0.590、p = 0.002)を生じさせるモデルが最も高い適合度を示した(GFI = 0.913)。一方、健常者群では同じモデルの適合度は低かった(GFI = 0.161)。以上の結果から、対標準1秒量で示される気流閉塞の進展とうつ病傾向の悪化の関係には、脳梁膝部の萎縮が介在していることが示唆された。本知見は、左右の前頭野の情報を伝達する脳梁膝部の機能回復が、COPD患者のうつ病傾向の改善につながる可能性を示唆するものである。
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