2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性閉塞性肺疾患におけるImmunosenescence(免疫老化)に関する研究
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18K08188
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
中山 勝敏 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (40321989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒屋 潤 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90468679)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COPD / 細胞老化 / statin / HO-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
COPDでは、喫煙による酸化ストレスによりDNA損傷がおこり、細胞老化機序が進行する。これに対し、抗酸化作用を発揮する生体活性物質としてHemeoxygenase-1 (HO-1)がある。HO-1はHemeを代謝し、CO、Biliverdin、Feに分解するが、これら代謝産物 (特にCO)を介して、酸化ストレスに対し細胞防御性に働くと考えられており、細胞老化に対しても有効性が期待できる。 HO-1は喫煙などの酸化ストレスやサイトカイン等で誘導されるが、近年マクロファージ系の細胞種において、statinによる刺激がHO-1を発現誘導することが示された。statinは、コレステロール産生抑制作用だけでなく、血管内皮の保護等多面的な作用を有している。我々は、ヒトの気道系において、statinがHO-1を発現誘導し、酸化ストレス刺激による細胞老化を予防することを検証することとした。ヒト培養気道上皮に対し、Pitabastatin (対照、0.3マイクロM、1.0マイクロM、3.0マイクロM)、Lovastatin (対照、3.0マイクロM、10マイクロM、30マイクロM)の濃度系列をそれぞれ24時間作用させた後、細胞を回収し、RT-PCRにてHO-1の遺伝子発現を評価した(GAPDHにより標準化)。Pitabastatin刺激によるHO-1の発現は、上記濃度系列において、1.00±0.15、1.20±0.15、1.89±0.25、0.79±0.20であり(1.0マイクロMが発現のピーク)、Lovastatin刺激によるHO-1の発現は、同様に、1.00±0.15、1.01±0.15、1.6±0.15、3.07±0.15であった。今年度は、新型コロナウイルス感染拡大のため、呼吸器疾患領域の患者や検体を扱う、研究が非常に制限されたため、細胞老化抑制効果まで至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、新型コロナウイルス感染拡大のため、呼吸器疾患領域の患者や検体を扱う、研究が非常に制限された。また定期的評価を必要とするフォローアップ検査なども欠損値が多く出た。具体的には以下の様な事象が発生した。 ・感染リスクを下げるため、病態評価の肺機能検査が禁止措置となり、肺機能データが取れなかった。・外来診療自体を最小限にする措置のため、患者の通院間隔を延長する措置が取られ、検体採取や症状などのフォローアップデータが取れなかった。・経過中に発熱症状の出た場合には、コロナ関連病院に受診、その後も安全のため電話診療などの措置が取られたため、検体採取などができなかった。・実際に患者新型コロナに感染し、コロナ対応病院に転院等したために、検体採取やフォローができなかった。 以上から、多くの脱落症例が出現し、研究が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
改めて、新規の検体採取や患者の登録を行い、現状でも評価可能な、症例や検体を用いてデータを纏めて行きたい。 また、コロナ終息後の研究再建も見据えて、次期研究課題にも免疫の老化のテーマを含めた形で、計画を作り上げたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大のため、呼吸器疾患領域の症例や検体の収集、解析が大きく制限されたため、研究の遂行が遅延したために次年度使用額が生じた。
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Research Products
(16 results)