2023 Fiscal Year Research-status Report
Gut-renal axis: microbiota and chronic kidney disease
Project/Area Number |
18K08198
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三島 英換 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (00706939)
|
Project Period (FY) |
2022-11-15 – 2025-03-31
|
Keywords | 腸内細菌叢 / 慢性腎臓病 / 尿毒素 / 過酸化脂質 / 酸化ストレス / 急性腎障害 / ビタミンK |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢と腎臓病の臓器連関である「腸腎連関」をテーマとし、この臓器連関が腎臓病に与える影響について検討した。これまでの研究から腎臓病においては、腸内細菌叢の変化、および腸内細菌叢由来代謝物の血中・組織濃度が変化することを明らかにしていた。特に、インドキシル硫酸やクレシル硫酸といった尿毒素と呼ばれる悪玉代謝物は、腎臓病患者では蓄積し、生体(特に心血管)に対して様々な悪影響を及ぼす負の代謝物であることが知られている。一方で、腸内細菌由来の短鎖脂肪酸は、生体や病態に対して正に影響することもしられている。このように腸内細菌および腸内細菌由来代謝物は、腎臓病に対して正負両面から影響を及ぼす。本研究では、腸内細菌叢の正の作用を探索することを目的として、腸内細菌由来代謝物の細胞死に与える影響を検討した結果、ビタミンKがフェロトーシスと呼ばれる細胞死の一種を抑制する作用があることを新たに見出した。ビタミンKは血液を止血するために必須の抗凝固ビタミンとして知られるが、その他にも多種の生理作用を有していることも知られている。本研究から腸内細菌叢の変化は、ビタミンKをはじめとする腸内細菌由来代謝物の変化を介して、ホストにおけるフェロトーシス細胞死の感受性に影響を与えることを示唆する結果となった。現在、他の腸内細菌叢代謝物の細胞死の正負両面へあたえる影響についてその効果と機序について検討をすすめているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸内細菌叢由来代謝物のホストに与える要因について検討を行い、その効果と機序の検証を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
腸内細菌叢由来代謝物のホストに与える要因について検討を行い、その効果と機序の検証を行っている。特に、細胞死にあたえる影響にフォーカスをおいて検討を行う予定である。細胞死には、アポトーシスいがいにもフェロトーシス、ネクローシス、パイロプトーシスなど様々な細胞死様式があることが現在知られており、各細胞死様式にあたえる影響について培養細胞モデルを用いて詳細に検討をすすめていく。
|
Causes of Carryover |
データ解析に使用する額を次年度使用額として計画している。
|