2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of new therapeutics for kidney diseases by mitochondria homing drug
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18K08199
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 健弘 東北大学, 医工学研究科, 特任准教授 (50396438)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 酸化ストレス / 慢性腎臓病 / 急性腎障害 / 造影剤腎症 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリア病は先天性・後天性のミトコンドリア機能異常に起因し、神経、筋、心臓、肝臓、腎臓、血液、視覚、聴覚など高度に分化した細胞がその活発な細胞代謝と機能・携帯維持をミトコンドリア電子伝達系によるATP合成に依存する重要臓器の障害を来す難治性疾患群である。ミトコンドリア機能異常は慢性腎不全、急性腎障害、ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群などの難治性腎疾患の原因となるが、有効な治療法は確立していない。我々はミトコンドリア内膜の蛋白質mitofilinに結合することで高いミトコドリア特異性を持ち、ATP合成酵素の重合化を促進してミトコンドリア病患者細胞のミトコンドリアの活性酸素(mtROS)を減少させながらATP産生を増加させて細胞の生存率を改善する新規のミトコンドリア特異的機能改善薬 MA-5を開発した(Suzuki T.TJEM 2015,Suzuki T. JASN 2016,Matushashi T. EBioMedicine 2017) 。MA-5はマウスの急性腎障害モデルでは腎機能と急性尿細管壊死を改善為、ミトコンドリア病マウス(Mitomice, ミトコンドリア病/MELASのmtDNA変異)への長期投与でも心臓と腎臓のミトコンドリア呼吸機能を改善し短命なモデルマウスの寿命延長効果を認めた(Suzuki T. JASN 2016)。さらにミトコンドリア患者培養細胞でのミトコンドリアが細断化する形態異常やそのDynamicsが低下する機能障害をMA-5が改善することを電子顕微鏡と高解像度共焦点蛍光顕微鏡のTime lapsで定量的に評価した (Matushashi T.EBioMedicine 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床のX線造影検査で使用される造影剤の重大な副作用である造影剤腎症は最も頻度の高い薬剤性腎障害の1つであり、その病態機序に虚血・酸化ストレス・ミトコンドリア機能異常が関わるが、その治療法は確立されていない。造影剤投与後の腎虚血と尿細管上皮細胞への直接毒性によるミトコンドリア障害がその病態機序にあるとされている。実際に臨床で用いられる造影剤のIohexolを2g iode/kg体重で静注投与した片腎摘マウスの急性造影剤腎症モデルにMA-5を50mg/kg体重/日で経口投与してから24時間の評価では、腎機能と尿細管病理所見の改善傾向と尿中AKIマーカーのNGALの有意な減少を認め、高脂肪投与で肥満・糖尿病・アルブミン尿を誘導した高齢マウスを用いた、造影剤連日投与(3日間)の慢性腎臓病患者での造影剤腎症を想定したモデルでもNGALと腎臓病理、腎機能の改善を認めた。(ISN Frontiers Meetings on Kidney Disease & Cardiovascular Disease 2018, Kidney week 2017, Kidney week 2016,第60回/第61回日本腎臓学会学術集会で発表)。高血圧性腎傷害・心不全でも虚血とミトコンドリア機能障害が認められるため、疾患モデルとしてDOCA-Salt高血圧マウスモデルでの検討行い、MA-5の投与により、高血圧性心不全の改善と腎障害(糸球体障害、尿細管障害)の改善、アルブミン尿の減少と心筋細胞、腎尿細管細胞でのミトコンドリア呼吸機能改善などの治療効果を認め現在論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
造影剤腎症モデルは急性造影剤腎症モデルと、高脂肪投与肥満・糖尿病誘導慢性腎臓病マウスでの造影剤よる慢性腎臓病急性増悪を想定したモデルでのMA-5による治療効果を認めており、論文投稿のためのデータ検討と追加実験を行う。高血圧性腎傷害・心不全でも心機能、腎臓の糸球体障害、尿細管障害、アルブミン尿と尿細管のミトコンドリア機能障害のMA-5による改善効果を認めており、論文投稿する。巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)モデルなどの治療抵抗性難治性ネフローゼ腎疾患モデルでの検討は今後の課題として現在実験準備計画中である。
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