2020 Fiscal Year Research-status Report
近位尿細管管腔側酸分泌におけるNBCn2の生理的・病態生理的意義
Project/Area Number |
18K08201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 正志 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (90595662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 晶子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20534895)
中村 元信 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40459524)
佐藤 信彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80572552)
山崎 修 帝京大学, 医学部, 講師 (80757229)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NBCn2 / 近位尿細管 / 酸塩基平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではラットおよび腎癌摘出時に得られたヒトの単離近位尿細管の管腔側を露出させ(split open法)、重炭酸を含まないHPES灌流液からNaを除去した際の細胞内pHの変化を測定する事により、近位尿細管管腔側における酸塩基輸送を解析した。近位尿細管管腔側の酸塩基輸送はNa/H交換輸送体NHE)3が主に担っていると考えられてきたが、NHE阻害剤EIPAにより酸塩基輸送は10-50%抑制しか抑制されなかった。一方、重炭酸輸送体阻害剤DIDSにより近位尿細管管腔側の酸塩基輸送が30-50%抑制された。さらにEIPA、DIDSの同時添加により近位尿細管管腔側の酸塩基輸送の80%以上が抑制された。このことからDIDS感受性の未知の輸送機構が存在する可能性が示唆された。また、Na-HCO3共輸送体NBCn2が近位尿細管管腔側に発現していることが近年報告されていたが、その役割は明らかにされていなかった。このため、NBCn2に対するsiRNAを単離近位尿細管に作用させ、酸塩基輸送への影響を調べる実験を行ったところ、近位尿細管管腔側の酸塩基輸送は約50%抑制された。さらに、ラット、ヒトの腎皮質組織をNBCn2に対する抗体を使用し免疫組織染色を行ったところ、近位尿細管管腔側が染色され、NBCn2が発現していることを確認した。これらの結果から近位尿細管管腔側にNBCn2が発現し、これまで酸塩基輸送の主体と考えられてきたNHE3だけでなくNBCn2が酸塩基輸送に大きく関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行の影響により研究遂行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
残っている補助的なデータを取得し研究の完了を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行により研究が遅れていることによる。残務の遂行に使用する予定である。
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