2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K08209
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
濱野 高行 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (50403077)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心不全 / 腎うっ血 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心不全の治療前後で、腹部エコー評価による腎長径サイズが有意に低下することを掴んだ。また肝うっ血の指標として使える超音波肝臓エラストグラフィー によって評価するliver stiffness(LS)が改善する症例では腎長径は全例で低下したが、LSが改善を見なかった症例では、腎長径は有意な変化がなかった。これらの事実から、LSが腎うっ血の代用マーカーとして使えることが判明した。 また心不全治療後にLSを測定した234名の解析によると退院時のLSが高い症例では、退院後2年間の観察でeGFRの低下スピードが速いことも見だした。また入院時のLSと比較して退院時のLSが低下した症例の退院後2年間のeGFRの低下は、入院時にLSが正常だった群と同様であり、一番eGFRが退院後2年で悪化したのは、LSが心不全によって改善しない群であった。上記のデータから、長期の腎予後の観点から、右心系のうっ血の管理が重要であることが示唆された。従来心不全におけるworsening renal functionは急性腎障害に関する知見であり、本研究は慢性期においても右心系うっ血管理の重要性を明らかにした点が意義深いと考えられる。 さらに急性期のLS改善に有意に寄与した因子は、急性期のtolvaptanの使用であった。そこでtolvaptanを心不全で使うことで長期腎予後が改善するかを、大阪大学大学院循環器内科との共同研究で明らかにしつつある。tolvaptanの使用患者では、非使用患者に比して有意に心機能が悪く、心臓再同期治療などがされているため、propensity score matchingの手法で各群42名を比較したところ、退院時のeGFRに有意差はなかったが、退院18か月後のeGFRは有意にtolvaptan群で高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心不全症例に関しては登録、解析がおおむね順調である。また費用計上についてもおおむね、当初の計画通りに進行している。 ただ、腎生検症例に関しては、腎浮腫は炎症の影響が大きく、炎症細胞浸潤で補正すると低Na血症と腎浮腫の正の関連はほとんどなくなり、これ以上の症例登録をしても有意にならないと判断し、これ以上の症例登録は断念した。
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Strategy for Future Research Activity |
tolvaptanの長期腎保護作用がどのような症例で特に強く発揮されるかを明らかにするために、心不全症例を他病院にも求め患者数を拡大しつつある。 また腎うっ血の改善を腎エコーで今まで評価していたが、この評価には検者の力量にも影響され恣意性が入るので、より客観的指標としてCTを用いて腎容積を評価することを考えており、名古屋市立大学大学院医学研究科放射線科との共同研究を現在企画しつつある。
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Causes of Carryover |
腹部CTによって腎容積を評価する際に、患者情報を院内で管理する上でパソコンや画像処理ソフトなどが必要なため。
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