2018 Fiscal Year Research-status Report
キサンチンオキシドレダクターゼノックアウトマウスにおける腎不全死起因物質の探索
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18K08222
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡部 多真紀 帝京大学, 薬学部, 講師 (40453691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細山田 真 帝京大学, 薬学部, 教授 (00291659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腎不全 / 腎毒性 / プリン代謝関連物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎不全死するHPRT低活性Xor-KOマウスと生存するHPRT高活性Xor-KOマウスの尿中、血中および臓器中プリン体含量の差を調べることにより、HPRT低活性Xor-KOマウスにおいて蓄積する腎毒性物質および欠乏する腎保護物質を同定し、他の腎不全モデルマウスにおいて腎障害のバイオマーカーとして機能するかどうか検討することを目的としている。平成30年度の研究実績として、HPRT低活性および高活性それぞれのXor-KOマウスの尿サンプルについて、HPLCを用いて各クロマトピークを分離し、複数のUV波長を用いたクロマトグラムを得た。HPRT高活性に比べてHPRT低活性XOR-KOマウスの方が多く尿中排泄されているクロマトピークおよび死期が近づくにつれて増加するクロマトピークを検討したところ、ヒポキサンチンが同定された。Xor-KOマウスにおけるヒポキサンチンの増加はIMPデヒドロゲナーゼの活性阻害によるキサンチンへの転換抑制である可能性が考えられた。IMPデヒドロゲナーゼはNAD+依存性酵素であることから、NAD+生成阻害物質について文献検索したところ、ヒポサンチンがNAD+生成阻害作用を持つことが判明した。 したがって、NAD+生成低下に伴いIMPデヒドロゲナーゼ活性が低下し、ヒポキサンチンが増加してNAD+生成をさらに阻害するという悪循環がXor-KOマウスにおいて生じている可能性が考えられた。次年度はNAD+生成を増加するニコチナミドモノヌクレオチドおよびトリプトファンの添加飼料を用いて寿命延長効果の検討を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度はプリン体関連化合物のクロマトピーク同定を進め、クロマトグラム中の多くのピークが同定されたものの、未同定のピークも残存している。ヒポキサンチンによるNAD+生成阻害の悪循環の可能性が示唆されたので、NAD+生成を増加させる方略とヒポキサンチンを低減させる方略を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
NAD+生成を増加させる方略としては、ヒポキサンチンはニコチナミドからニコチナミドモノヌクレオシドおよびニコチナミドモノヌクレオチドを生成する経路を阻害するので、ニコチナミドモノヌクレオチドを添加する方策、およびトリプトファンからキノリン酸を経由してNAD+に至るトリプトファン経路を利用する方策を検討して行く。並行してヒポキサンチンを低減させる方略についても検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に試薬等の物品費として用いる予定である。
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