2020 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of urinary microRNA expression in renal diseases and its utility as a biomarker
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18K08229
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今田 恒夫 山形大学, 医学部, 教授 (60333952)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | microRNA / 腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの検討で、健常者・腎疾患患者計150名を解析し、①糸球体、尿細管、間質の各細胞に様々なmicroRNAが発現する、②腎組織と尿のmicroRNA発現は相関する、③腎病変の種類により尿microRNA発現プロファイルが異なる、などの結果を得ているが、今年度は特に、IgA腎症の尿microRNAプロファイルと腎機能変化に注目して解析を行った。 まず初めに、健常者5例・IgA腎症88例の尿中microRNAを抽出し、全例で測定可能な量のmicroRNAを回収した。尿中の総microRNA量と総蛋白量は有意な正相関を示していた。次にIgA腎症患者の中で1年間の腎機能低下が大きい群と小さい群から各5例ずつ選び、マイクロアレイ解析により、尿miroRNAプロファイルを比較したところ、腎機能低下と関連する複数の尿microRNAが同定できた。特に、その中の一つであるmiR-21に注目し、IgA腎症全88例の1年間eGFR低下と尿中miR-21濃度の関連を検討したところ、両者には有意な相関を認めた(2020年米国腎臓学会にて発表)。さらに、同様の関連を示すmiR-21以外のmicroRNAについても、腎疾患バイオマーカーとしての有用性について検討中である。 これらの結果から、様々なmicroRNAが腎疾患の発症や進行に関与し、尿microRNAは腎組織microRNA発現や腎障害の病態を反映すること、尿中microRNAは腎疾患の予後を予測するバイオマーカーとなりうることが示唆された。しかし、腎疾患診断や病態解明に尿microRNAを用いるには、解析件数を増やし、より詳細な検討が必要と思われた。
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