2019 Fiscal Year Research-status Report
Non-renal and enzymatic regulation of neutrophils in inflammatory kidney diseases
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18K08232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 裕志 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90784174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 好中球 / 腎臓 / 炎症 / 神経 / 血管生物学 / 白血球 / 血栓 |
Outline of Annual Research Achievements |
好中球は,増殖性ループス腎炎,抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)血管炎,感染後の糸球体腎炎等種々の糸球体腎炎の患者の腎に蓄積する.好中球の無秩序かつ過剰な活性化は組織の損傷を引き起こし,その細胞活性を調節することは,腎の炎症とそれに続く糸球体の損傷を軽減する直接的な治療戦略となる.近年,好中球の活性化における細胞内キナーゼの関与が次々と明らかになり炎症性疾患に対する分子標的薬の利用が進んでいる. 我々は,炎症性腎疾患における骨髄球の作用に着目し骨髄球活性化に関与するリン酸化酵素に焦点を当てた.既に探索を進めている RNA 結合ドメインとリン酸化酵素活性ドメインの両方を持つリン酸化酵素が好中球の血管内皮接着や血管外遊走に対して促進的に作用するメカニズムについて,細胞骨格や接着員発現・活性化に注目して解析を進めた.この酵素は炎症性サイトカインの刺激によって自己リン酸化され好中球の細胞骨格にも変化を与える.この酵素の活性化は好中球の接着や遊走にも促進的に作用する.一方,背側皮下気腫 air pouch 内好中球遊走モデルや抗基底膜抗体投与によって惹起される Goodpasture 症候群モデルマウスを用いて,炎症急性期の蛋白尿や糸球体内好中球沈着に酵素阻害薬が抑制的に作用する可能性を見出した. 一方,腎臓の炎症における好中球の挙動に影響する細胞外の因子のうち特に神経伝達分子の役割に注目している.これら一部の神経伝達物質は中枢神経ではなく末梢神経が分布する末端臓器・組織において炎症に対して保護的に作用している可能性が動物実験から示された.現在,神経細胞と血液炎症細胞の共培養実験を樹立しながら,とくに局所炎症において好中球が標的とされた場合の細胞内シグナルの変化に焦点を当てて解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
好中球の細胞内シグナルの影響について分子レベルの機序解明を地道に進めている.前年度に引き続き,ウイルス感染において二本鎖RNAによって活性化されることが知られる二本鎖RNA活性化タンパク質キナーゼに焦点を当てた.同酵素は無菌の炎症刺激によって自己リン酸化されることを発見した.血流を模式化したシェアストレス環境において好中球キナーゼの阻害により,TNF-α誘導性に活性化された血管上皮細胞への好中球接着が低下した.また,酵素の遺伝学的サイレンシングまたは薬理学的阻害により遊走化因子刺激による好中球トランスウェル遊走が減少した.さらに,化学的キナーゼ阻害剤で処理されたマウスでは,背側皮下気腫 air pouch モデルにおけるTNF-α誘導性好中球遊走が減少し,又,Goodpasture 症候群を模した腎毒性血清腎炎における糸球体への好中球の早期動員が減少し,異種相アルブミン尿の低下を示した.これらの実験成果の一部は国内外の学会・研究会発表を重ね,腎臓病学・免疫学研究者からご意見ご批評を頂きながら研究を進めている. 一方,腎臓外からのシグナルが好中球に与える影響についても,とくに神経系シグナルの関与そして凝固・止血因子の関与を念頭に遺伝子欠損動物を用いた実験で暫定的な結果を得ている.とくに一部の神経伝達物質は中枢神経ではなく末梢神経が分布する末端臓器・組織において炎症に対して保護的に作用している可能性が動物実験から示された.これらについて好中球内及び細胞間メディエータの同定を目指して,生体から採取した初代培養細胞系の樹立を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,当初の計画していた方向で研究を推進していく. 好中球における RNA 依存性リン酸化酵素が血管内皮接着に影響していたメカニズムについて,細胞接着因子の発現及び3次元構造変化を伴う活性化に与える影響を探る.また,これまで解析対象としていない別の細胞内酵素の関与についても評価を進めている. 一方,腎臓外からの神経シグナルが好中球に与える影響について,神経細胞と炎症細胞の共培養を行いながら,両者の相互関係を解析していく.また新たな細胞外シグナルの視点として,血栓・凝固線溶系による好中球活性制御も視野に入れる. いずれも学会・研究会発表や論文投稿準備を進めている.
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Gene-diet interactions associated with complex trait variation in an advanced intercross outbred mouse line2019
Author(s)
Vorobyev, Gupta, Sezin, Koga, Bartsch, Belheouane, Kunzel, Sina, Schilf, Korber-Ahrens, Beltsiou, Lara Ernst, Khil'chenko, Al-Aasam, Manz, Diehl, Steinhaus, Jascholt, Kouki, Boehncke, Mayadas, Zillikens, Sadik, Nishi, Ehlers, Moller, Bieber, Baines, Ibrahim, Ludwig
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 4097-4097
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Mitochondrial damage causes inflammation via cGAS-STING signaling in acute kidney injury2019
Author(s)
Hiroshi Maekawa, Tsuyoshi Inoue, haruki Ouchi, Tzu-Ming Jao, Reiko Inoue, Hiroshi Nishi, Rie Fujii, Fumiyoshi Ishidate, Tetsuhiro Tanaka, Yosuke Tanaka, Nobutaka Hirokawa, Masaomi Nangaku, Reiko Inagi
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 29
Pages: 1261~1273.e6
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Vascular Ehlers-Danlos syndrome diagnosed in a patient initiating hemodialysis2019
Author(s)
Haruki Ouchi, Hiroshi Nishi, Motonobu Nakamura, Yosuke Hirakawa, Tetsuhiro Tanaka, Norifumi Takeda, Takafumi Akai, Yuichi Ohashi, Katsuyuki Hoshina, Toshio Takayama, Masaomi Nangaku
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Journal Title
Kidney International Reports
Volume: 4
Pages: 1646~1648
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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