2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜輸送体に着目した新しい腎臓線維化治療法の開発
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18K08233
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
油井 直史 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00633976)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎臓線維化 / 細胞骨格 / アクチン / ミオシン / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病の罹病率は増加傾向であり、その克服は透析導入患者数を減らすための重要な臨床課題である。腎臓線維化は原疾患に関わらずCKD進展の共通項であり、その分子機序の解明は極めて重要な医学的課題である。本研究では腎臓線維芽細胞が筋線維芽細胞へと活性化するに際し、どのような細胞膜分子が関与するか、その同定と機能解析をすることを目的として計画した。 ラット腎臓線維芽細胞(NRK-49F細胞)をTGF-β1で刺激、細胞膜表面分子をビオチン標識法を用いて選択的に回収し高感度銀染色、LC-MSで解析した。細胞膜貫通タンパクとして非筋肉型ミオシンⅡA(NMⅡA, 別名myosin-9, MYH9)を同定することが出来た。TGF-β1刺激によりα平滑筋アクチン(αSMA)が有意に増加し、その際にTGF-β1型受容体(TGFR1)がendocytosisを受け、Smad 2/3が核で優位に増加し、核特異的にリン酸化(pSmad2/3)を認めたが、NMⅡAの特異的阻害剤であるblebbistatinで処置したところ、NMⅡAの細胞膜集積と軽鎖リン酸化が阻害され、TGF-β1誘導性のTGF-β1型受容体(TGFR1)のendocytosisとSmad2/3リン酸化と核集積は有意に減少し、αSMAの発現も有意に減少した。TGF-β1によるNMⅡAの細胞膜表面集積は線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化に決定的に重要な分子機構であると考えられた。この知見を令和2年度日本腎臓学会学術総会(横浜)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緩やかな進歩はあり学会発表に繋げたが、根本的な発展は遂げられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本知見をさらに深めるため、KD実験系を確立する。NM2Aの線維化における機能解析を進め、相互作用分子群を解析する。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、実験が中断した。そのため研究費の一部を翌年に繰り越しした。その他新規で科研費は申請していない。この助成金を用いて、腎臓線維化における非筋肉型ミオシンⅡAの機能解析と相互作用分子の同定を行う。
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Research Products
(2 results)