2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K08234
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00463969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成田 一衛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20272817)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IgA腎症 / メタ16S解析 / 扁桃陰窩 / IgA-Seq |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、IgA腎症患者の口蓋扁桃に存在する細菌叢について次世代シークエンサーを用いてゲノム解析を行なっている。IgA腎症患と、コントロールとして尿異常が認められない習慣性扁桃炎患者を対象とした。摘出口蓋扁桃の深部陰窩組織を採取し、ゲノムDNAおよびタンパク質を抽出した。扁桃組織の糖鎖不全IgA1は両群で有意な差は認められなかったが、IgA産生誘導に関与するAPRILはIgA腎症患者で有意に高値を示した。メタ16S解析により各細菌群集の相対存在比を比較した結果、両群で有意な差は認められなかったが、IgA腎症患者においては扁桃でのGd-IgA1とBacteroidetes門および Spirochaetes門の細菌群集と関連が認められた。近年、炎症性腸疾患では、IgA分子が結合する細菌群集は腸粘膜での炎症を惹起し、疾患の病態生理に深く関与していることが示されている。このIgA-Seqを扁桃組織を用いて解析した結果、Bacteroidetes門の細菌群集にIgAがより多く結合し、その程度は習慣性扁桃炎患者よりもIgA腎症患者で有意に高いことが示された。近年、IgA腎症モデルマウスでは、抗菌薬の投与により腎炎が軽快することが報告され、IgA腎症の発症にマイクロバオームの関与が示唆されている。本研究において、IgA腎症の病態には口蓋扁桃での嫌気性菌に対するIgA免疫応答異常が存在すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出扁桃組織を用いて、メタ16S解析を行い、疾患マーカーとの関連について解析が進んでいる。またIgA-Seqを行い、IgA結合細菌の情報が得られており、またIgA腎症と習慣性扁桃の相違も検出されており、当初の予定通り研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、IgA-Seqにより得られた細菌種について、IgA腎症における特異性についてさらに解析を進める。また扁桃メタゲノム解析を行い、細菌ゲノム構造の違いについて検出を試みる。また扁桃における細菌群に対する血清糖鎖不全IgA1の反応性も定量化し、糸球体腎炎に至る機序における役割を明らかにする。
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Research Products
(2 results)