2019 Fiscal Year Research-status Report
ループス腎炎の発症病態における抗リボソームP抗体の関与
Project/Area Number |
18K08235
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 弘恵 新潟大学, 保健管理・環境安全本部, 講師 (80705963)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 佳賢 新潟大学, 医歯学系, 講師 (80444157)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ループス腎炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
8週齢のTNF-α欠損マウスに、抗Pモノクローナル抗体9D5を2週おきに投与したところ、WTマウスでは血清シスタチンCと尿素窒素の上昇が起きたのに対し、TNF-α欠損マウスでは腎機能の低下が抑制された。また8週齢のNZB/W F1マウスに抗Pモノクローナル抗体9D5を2週おきに投与した際に生じる、血清シスタチンCと尿素窒素の上昇や組織学的変化は、抗TNFα抑制薬により抑制された。9D5やC1qの組織沈着に差は見られなかったが、CCL2産生および、単球やマクロファージの浸潤が抑制されていた。抗TNFα抑制薬の代わりにデキサメサゾンを投与しても同様の結果が得られた。 次に、浸潤した単球とマクロファージのFcγ受容体について検討した。8週齢のFc受容体共通γ鎖欠損マウス(細胞表面のFcγRⅠ、FcγRⅢ、FcγRⅣ欠損)、FcγRⅡB欠損マウス(免疫抑制作用を持つFcγRⅡBの欠損)とWTマウスに9D5を投与したところ、Fc受容体共通γ鎖欠損マウスではCCL2の上昇が抑制されたが、FcγRⅡB欠損マウスではWTマウスよりCCL2の上昇が増強した。以上から、抗P抗体によるマクロファージからのCCL2産生には、Fc受容体共通γ鎖を介しており、一方で、FcγRⅡBが抑制性に作用していることが示された。さらに9D5を2週おきに投与したところ、Fc受容体共通γ鎖欠損マウスでは血清シスタチンCや尿素窒素の上昇が抑制され、一方でFcγRⅡB欠損マウスでは増悪した。抗P抗体9D5による糸球体障害には9D5の組織への沈着と、単球・マクロファージの細胞表面のFc受容体共通γ鎖の活性化に依存していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に準じて研究を進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は大量γグロブリン療法による治療効果について検討を進める予定である。 また、ループス腎炎患者におけるリボソームP抗原の表出の有無、分布などについても解析を進める予定である。さらに、ループス腎炎患者で、抗P抗体と組織所見について、また抗P抗体が予後予測因子となるのかについて、詳細に検討を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の見積もりより順調に進んだため
|