2018 Fiscal Year Research-status Report
尿細管上皮とマクロファージによる甲状腺ホルモン受容体を介した線維化抑制機序の解明
Project/Area Number |
18K08237
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
北村 健一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10304990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 文彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (90456450)
滝澤 壮一 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80456467) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 甲状腺ホルモン受容体 / 腎線維化 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]甲状腺機能低下症マウスおよび甲状腺ホルモン受容体KOマウスを用いた解析 腎間質線維化に対する甲状腺ホルモンの影響を解析するために、低ヨード食とメルカゾールを投与して作成した甲状腺機能低下症マウスを用いて、一側尿管結紮を行い、腎線維化の程度を検討した。甲状腺機能低下症マウスでは、健常マウスに比べて著明な腎間質の線維化、腎線維化マーカーの上昇、炎症性マクロファージ浸潤の著明な上昇、炎症マーカーの上昇を認めた。同様に、甲状腺ホルモン受容体(TRα)KOマウスを用いてUUOを作成して評価したところ、野生型マウスに比べて著明な腎間質の線維化、腎線維化マーカーの上昇、炎症性マクロファージ浸潤の著明な上昇、炎症マーカーの上昇を認めた。これらの結果は、甲状腺ホルモン受容体を介したシグナルが、腎間質の線維化進展に対して保護的な作用を担っていることを示している。
[2]TRαKOマウスを用いた骨髄移植による解析 次に、私たちはこのTRαKOマウスにおいてマクロファージの腎間質への浸潤が増加していることから、マクロファージに発現しているTRαに抗炎症作用があるのではないかという仮説を立てた。そこで、TRαKOマウスの骨髄を野生型マウスに移植する方法で骨髄由来細胞特異的にTRαが欠損したマウスを作製してUUOを行ったところ、腎間質の線維化、腎線維化マーカーの上昇、炎症性マクロファージ浸潤の著明な上昇、炎症マーカーの上昇を認めた。これらの知見は、骨髄由来マクロファージに発現するTRαに抗炎症作用があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究で得られた結果は、当初の仮説通りのものであり、研究の進捗状況も概ね研究計画書の通りに進んでいるので、上記のような評価となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究が計画通りに進んでいるので、今後も研究計画書に沿って進める予定である。2019年度は培養マクロファージmφを用いた検討を中心に行う予定で、培養マクロファージ細胞株であるRaw264.7細胞のTRαをknock downし、LPSおよびTRリガンドであるT3の存在下で、炎症マーカーの発現やマクロファージ極性を解析する。また、TRαをknock downしたRaw264.7細胞をLPSで刺激後に尿細管上皮細胞や線維芽細胞と共培養し、これらの細胞の形質転換誘導においてマクロファージに発現するTRαが与える影響について検討する。
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