2020 Fiscal Year Research-status Report
日本の一次性膜性腎症における責任抗原ごとの病態理解と新規診断法の確立
Project/Area Number |
18K08239
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
秋山 真一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20500010)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 膜性腎症 / ネフローゼ症候群 / 自己抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、膜性腎症の中でも責任抗原が不明な特発性膜性腎症について未知の責任抗原の解明を目指すと共に、Phospholipase A2 receptor(PLA2R)やThrombospondin 7A(THSD7A)を含む既知の各種責任抗原に対する自己抗体を指標にした病態理解および新規診断法の開発に取り組んでいる。 研究3年目の進捗は以下の通りである。未知の責任抗原の同定では、研究1年目に開発した患者血清を用いた免疫沈降法を用いて抗原検索を継続した。これまでの実験で得られた新規抗原候補となるタンパク質に対する膜性腎症患者由来の自己抗体の結合性を検討した。一方、既知責任抗原であるPLA2RおよびTHSD7Aのエピトープ解析では、海外での先行論文を参照してフラグメント化した各種抗原を調製して、抗PLA2R抗体陽性血清または抗THSD7A抗体陽性血清を用いて、エピトープ分布を解析した。さらに、診断時の抗PLA2R抗体濃度と腎予後との関係について検討した。その結果、診断時の抗PLA2R抗体濃度は腎機能の予後に対する独立したリスク因子であることを明らかにした。また、海外のコンセンサスでは抗PLA2R抗体陰性患者は抗PLA2R抗体陽性患者と比較して腎予後が良好であるとされていたが、本研究の結果、日本人膜性腎症患者においては抗PLA2R抗体陽性低値の患者の予後が最も良好で、抗PLA2R抗体陰性患者、抗PLA2R抗体陽性高値患者の順に腎予後が悪化する傾向にあることが判った。このことから、診断時抗PLA2R抗体濃度を用いた腎予後推定法の確立に目処がたった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19流行により、勤務制限、検体や実験資材の物流制限、および、血液検体取扱での感染症対策により研究スケジュールが遅延した。
|
Strategy for Future Research Activity |
一年延長して、当初の研究計画の遂行を目指す。具体的には、未知抗原および既知抗原に対する自己抗体のプロファイルの解明を通じて、病態理解と新規診断法の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
Covid-19流行により、研究の進捗が遅延したため。使用計画としては膜性腎症患者由来自己抗体の解析および研究の取りまとめに係る費用として使用する予定である。
|