2019 Fiscal Year Research-status Report
新規転写共役因子LSD1のMR活性制御及び食塩感受性高血圧発症における意義の解明
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18K08250
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 佐紀子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (80383727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食塩感受性高血圧 / MR / 転写共役因子 / LSD1 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、我々は腎尿細管特異的LSDノックアウトマウス(KspLSD1-KOマウス)およびコントロールマウスのアルドステロン投与、高食塩状態やMRI拮抗薬(スピロノラクトン)投与による標的MR遺伝子の発現への影響をPCR法、western blot法、免疫染色で確認し、また臓器障害の病理学的検討を行った。 まず、浸透圧ポンプによるアルドステロン短期投与実験において、コントロールマウスにおいては血中アルドステロン濃度の上昇に伴いMR標的遺伝子であるENaCαのmRNAの発現上昇が認められた。KspLSD1-KOマウスでは、アルドステロン上昇に対するENaCαの発現上昇の程度がコントロールに対して有意に亢進しており、MRI感受性の亢進が示唆された。Western blot法、免疫染色おいても同様の傾向が認められた。 KspLSD1-KOマウスおよびコントロールマウスに対する長期塩分負荷およびスピロノラクトン投与の影響を調べた。既に16週齢から42週齢までの高食塩負荷でKspLSD1-KOマウスではコントロールに比べ有意な血圧上昇が見られることが確認されているが、KspLSD1-KOマウスおよびコントロールマウスの両群で長期高塩分負荷による著明な線維化の増強を認め、これらの線維化はスピロノラクトン投与により通常食と同程度まで抑制されていることが確認された。また、線維化の程度はKspLSD1-KOで強い傾向があり、MR感受性の亢進が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎尿細管特異的LSDノックアウトマウス(KspLSD1-KOマウス)およびコントロールマウスの高食塩負荷やMR拮抗薬(スピロノラクトン)投与による標的MR遺伝子の発現への影響の確認や、臓器障害の病理学的検討の検討は行えたが、DOCA/salt負荷や高脂肪食負荷によるアルドステロン過剰状態の検討は十分進んでおらず、腸管上皮特異的LSD1ノックアウトマウスの作成が遅れている。LSD1の遺伝子多型を用いたテーラーメイド治療の実現に向けた臨床研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
腎尿細管特異的LSDノックアウトマウス(KspLSD1-KOマウス)およびコントロールマウスの高食塩負荷およびスピロノラクトン投与の影響の検討を引き続き行い、DOCA/salt負荷や高脂肪食負荷によるアルドステロン過剰状態の検討や、腸管上皮特異的LSD1ノックアウトマウスに関する検討を行う。 末梢血よりのDNA採取を開始し、患者DNA検体を用いたSNPの検出を行い、遺伝子多型別にMR拮抗薬投与によるMR感受性の評価を行う。
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Causes of Carryover |
KspLSD1-KOマウス及びコントロールマウスに対するDOCA/salt負荷や高脂肪食負荷による臓器への影響に関する実験が十分進んでおらず、腸管上皮特異的LSD1ノックアウトマウスの作成が遅れているためである。次年度では前記の負荷実験、ノックアウトマウスの作成・解析、実験に必要な物品の購入に使用する。
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Research Products
(6 results)