2018 Fiscal Year Research-status Report
Double-strand DNA injury in acute and chronic stages of renal allografts
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18K08256
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
横山 仁 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50191531)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 移植腎 / 疾患コホート / DNA損傷マーカー / VI型膠原線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)移植腎症の疾患コホート作成と解析:金沢医科大学において2007年以後に腎移植および腎生検が実施された移植腎症(137例)の疾患コホートの後向き調査において,経年的な腎機能予後調査を実施し,移植腎生検例のBanff分類による移植腎病変,腎線維化のスコア化および免疫蛍光抗体法を用いたリン酸化(γ-) H2AXを指標としたDNA損傷の発現細胞核数による定量的評価を行った. (2)臨床病理学的診断における病変部血管・線維化の意義:作成したコホート症例における生検組織の糸球体ならびに間質病変に関して画像解析装置を用いて腎病変の程度や,線維化の程度をスコア化し,特異的抗体を用いた免疫組織化学法により,病変部位でのDNA損傷の程度を計測した.具体的には,凍結切片を用いた間接蛍光抗体法によりDNA損傷マーカー(リン酸化H2AX)の尿細管上皮における発現を計測ソフトにより定量化し,移植早期におけるPNFあるいはDGFを診断に適切な指標であるかを検討した. (3)DNA損傷を持ったヒト糸球体内皮細胞によるVI型膠原線維分泌における,細胞内シグナル伝達経路の解析:Primary Human glomerular endothelial cells (ScienCell Research Labo)を, マイトマイシンC (MMC)処理によりDNA損傷を誘発し,apoptosis assayによる細胞のviability確認により,細胞死を起こさない薬剤濃度を決定した.DNA損傷を認識しDNA損傷時のシグナル伝達で中心的な役割を果たす3つのキナーゼ(ATM,ATR,DNA-PK)をそれぞれに対する特異的な阻害剤(KU55933,VE-821,Nu7441)で抑制し,VI型膠原線維の分泌抑制を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に予定していた,(1)移植腎症の疾患コホート作成と解析,(2)臨床病理学的診断における病変部血管・線維化の意義および(3)DNA損傷を持ったヒト糸球体内皮細胞によるVI型膠原線維分泌における,細胞内シグナル伝達経路の解析を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
年度計画が順調に実施出来ているので,当初予定していた以下の計画に従って研究を継続する. 平成31(令和1)年度は,1)疾患コホートの追加作成,コホートにおける各年毎の予後調査を継続する.2)追跡腎生検を実施した症例において登録時と同様の臨床病理・免疫組織化学を実施する.3)糸球体係蹄内皮細胞を用いたin vitro実験を継続する. 令和2年度(最終年度)は,1)コホートにおける最終年度の前向き予後調査を実施する.予後調査成績ならびに測定指標を用いた多変量解析により,各因子の腎機能ならびに生命予後に関する追跡最終年度の解析を実施する.2)最長42年に及ぶ長期移植腎を含む全コホート登録症例の収集した臨床病理学的指標をすべて用いたモデル解析を実施する.3)糸球体係蹄内皮細胞を用いたin vitro実験をまとめる.
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