2019 Fiscal Year Research-status Report
Role of human papilloma virus E6/E7 and CD55 positive cells in skin carcinogenesis
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18K08260
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
六戸 大樹 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50436036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 創 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (90281922)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 皮膚悪性腫瘍 / 発癌 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
皮膚有棘細胞癌の発生機序には非常に多くの要因が関与しており、その病態は非常に複雑である。発癌ウイルスとして知られるパピローマウイルスも皮膚有棘細胞癌の発生に関与することが示唆されている。実際、当科での皮膚有棘細胞癌、ボーエン病などの表皮角化細胞由来腫瘍でも、臨床検体からのHPV遺伝子増幅(PCR法)により、多くの症例からHPVのDNAが検出されている。特に外陰部発生の皮膚悪性腫瘍では高リスク群のHPV-16が検出される頻度が明らかに高かった。慢性的な紫外線障害を受けた日光露光部に生じた皮膚有棘細胞癌と比較し、陰部由来の皮膚角化細胞由来腫瘍では、高リスク群HPVが検出されることが多かったことから、皮膚有棘細胞癌の中でも、慢性紫外線障害が原因となるもの、HPV感染が発生に関与するもの、それらが明確に発生部位によって異なっていることが確認された。 高リスク群HPVのDNAは、宿主のゲノムへの組み込みが起こりやすく、癌遺伝子であるE6E7蛋白の高発現を引き起こす。E6E7蛋白により感染した頸がん細胞はアポトーシス回避による細胞寿命延長、ゲノム不安定化などの機序を介して癌化へと至ると考えられている。過去、皮膚腫瘍におけるE6E7の機能解析に関する報告はほとんど行われてこなかった。in vitroの実験系として、培養表皮角化細胞由来株 (HaCaT) への、HPV-E6E7プラスミドの導入を試みた。Lipofectamine2000を使用してプラスミド導入を試みたが、導入効率が低く薬剤によるセレクションでもうまくクローナルな増殖が起こらなかった。ケラチノサイト用lipofection法を用いたトランスフェクションも行なったが、HaCaT細胞ではうまく導入されず、より遺伝子導入効率が高い外陰部皮膚がん由来A431細胞株を用いて実験を行なっている。現在のところ概ね計画通りに進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HPV感染が疑われる皮膚有棘細胞癌、ボーエン病などの皮膚腫瘍検体からのHPV検索は昨年度から継続して行なっている。慢性的な紫外線障害を受けた日光露光部に生じた皮膚有棘細胞癌と比較し、陰部由来の皮膚角化細胞由来腫瘍では、ハイリスク群であるHPV-16が多く検出された。皮膚SCCの発症原因が日光のみならず、一部のSCCにおいてはHPVも役割を果たしていることが確認された。 in vitroの実験系として、培養表皮角化細胞由来株 (HaCaT) への、HPV-E6E7プラスミドの導入を試みた。Lipofectamine2000を使用してプラスミド導入を試みたが、導入効率が低く薬剤によるセレクションでもうまくクローナルな増殖が起こらなかった。ケラチノサイト用lipofection法を用いてトランスフェクションしたが、HaCaTではうまく導入されず、外陰部皮膚がん由来とされるA431細胞株を用いて実験を行なっている。現在のところ概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、皮膚腫瘍の臨床検体からのHPV検出を進める。 過剰発現したE6E7が細胞増殖能にも影響を及ぼす可能性があるため、必要時のみに過剰発現させるテトラサイクリン誘導性発現ベクターを採用する予定である。これらベクターを導入した細胞を用いて、E6E7を過剰発現させた場合に細胞増殖能の変化を解析する。細胞遊走能についてはスクラッチアッセイ、マトリゲルアッセイによってE6E7発現による細胞増殖、浸潤能を確認する。E6E7による細胞分化への影響も分化マーカーであるインボルクリンのmRAN発現量をRT-qPCRで確認し、形態学的にも光学顕微鏡で確認する。 HPV陰性子宮頸癌細胞にE6を発現させると、腫瘍内CD55陽性細胞の割合が増加し、これら細胞集団は悪性度が高いことが報告されている。実際に皮膚の腫瘍内でもCD55陽性細胞が増加しているものか、免疫染色の条件を設定し検討する。CD55陽性細胞増加が確認できれば、腫瘍検体からCD55陽性細胞をFACSで回収し、それら細胞の増殖能を解析する予定である。
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Research Products
(4 results)