2019 Fiscal Year Research-status Report
皮膚筋炎特異的自己抗原誘導モデルマウスの確立と免疫機構解析
Project/Area Number |
18K08263
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
沖山 奈緒子 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10581308)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自己免疫 / 皮膚筋炎 / 間質性肺炎 / マウスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性筋炎(PM)や皮膚筋炎(DM)は、筋炎と間質性肺炎、DMではさらに皮膚炎を呈する膠原病の一つである。近年、抗transcriptional intermediary factor 1 (TIF1)γ抗体、抗melanoma differentiation-associated gene 5 (MDA5)抗体、抗Mi2β抗体などの筋炎特異的自己抗体が種々同定され、それぞれの特徴的な臨床像が分析されてきている。同定された自己抗原は、臓器非特異的に細胞内にユビキタスに発現している蛋白である。そこで、これらの抗原に対する自己免疫機構を基盤とした新規モデルマウスを開発することを目的としている。 現在までに、遺伝子組換え手法を用いてHis-tag標識ヒトTIF1γ蛋白・マウスMDA5蛋白・ヒトMi2β蛋白の全長遺伝子配列を作成し、バキュロウイルス-昆虫系にて各蛋白を産生、Ni-NTAアフィニティーカラムにて精製した。これらの蛋白をアジュバントと共にマウスへ複数回免疫することで、ヒトTIF1γ蛋白・ヒトMi2β蛋白免疫ではそれぞれ、筋炎を起こすこと、マウスMDA5蛋白免疫では様々な条件下で間質性肺炎を惹起できることを見出している。 特にTIF1γ免疫誘導性筋炎は、MHCクラスI欠損マウス(β2ミクログロブリン欠損マウス)には惹起出来ず、B細胞欠損マウスでは野生型マウスと同様に発症が認められた。養子移入系では、免疫マウスのリンパ節から回収したCD8 T細胞移入で筋炎を起こせる一方、血清から回収したIgG移入では起こせない。これらのことから、この筋炎はCD8 T細胞が病原性細胞と考えられる。CD8 T細胞が産生する細胞傷害因子のパーフォリンを欠損するマウスでも、TIF1γ免疫誘導性筋炎は減弱することから、CD8 T細胞を標的とした治療法開発戦略を想起している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル惹起のプロトコールは確立しており、自己免疫性筋炎に関してはその免疫学的機構まで解析が終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性サイトカインプロファイルの解析を行う。また、特に、TIF1γ免疫と同様に自己免疫性筋炎を惹起したMi2b免疫誘導性筋炎において、TIF1γ免疫誘導性筋炎との差異を同定し、皮膚筋炎症例における、筋炎特異抗体サブグループ別の治療戦略の開発の基礎データとする。
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Remarks |
特許出願について:発明者の「井川奈緒子」は、申請者(沖山奈緒子)の戸籍名である
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Research Products
(7 results)