2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of pathomechanisms for ectodermal dysplasia with a multilateral approach
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18K08269
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
下村 裕 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70397107)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EDAR / EDARADD / dominant-negative効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、外胚葉形成不全症の疾患原因遺伝子が数多く同定されたが、原因遺伝子の機能、遺伝子間の機能的関連性や変異が発現・ 機能に及ぼす影響については未解明な部分が多く、また、原因遺伝子が未知の疾患も残されている。本研究では、低汗性外胚葉形成不全症とその類縁疾患を主な対象とし、それらの原因遺伝子がコードする蛋白についてさまざまな発現・機能解析をin vitroレベルで施行することで上記の謎をできる限り明らかにすることを目的とする。本研究を通じ、複雑な外胚葉形成不全症の発症機構についての貴重な新知見が得られるとともに、ヒトにおける外胚葉の発生・分化機構の解明や治療薬の開発に向けた新たな標的分子の同定などにも貢献できる可能性がある。2019年度には、2018年度の研究で得られた成果を英文誌と学会で報告した。さらに、低汗性外胚葉形成不全症の発症要因であるEDAR遺伝子の4種類の劣性変異および複数のEDARADD遺伝子変異(優性変異3種類と劣性変異1種類)について、培養細胞を用いて詳細な解析を行った。その結果、EDAR遺伝子変異は全て機能喪失型であることが証明されたが、変異間で機能低下の程度に大きな差異があり、それが臨床症状の重症度に関係している可能性が示唆された。また、EDARADD遺伝子変異については、優性遺伝型の変異型蛋白が野生型蛋白に対してdominant-negative効果を示す具体的な機序の解明につながるデータが徐々に出始めている。解析したすべての変異型EDARADDはEDARとの結合能を維持しているが、優性遺伝型のEDARADDは野生型EDARADDがEDARと結合することを阻害している可能性が極めて高いと思われる。一方、劣性遺伝型のEDARADDは野生型EDARADDの機能に影響しないとみられるが、引き続き慎重な検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低汗性外胚葉形成不全症の2つの原因遺伝子(EDAR, EDARADD)について、変異が発現・機能に及ぼす影響をかなり解明することができた。変異間での機能低下の程度の違いや蛋白間の相互作用についても新規性の高い知見が得られている。さらに、得られた研究成果について論文および学会で順次発表している。 以上より、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に引き続きEDARADD遺伝子変異の解析を進め、変異による低汗性外胚葉形成不全症の発症機構をさらに明らかにする。また、WNT10AやTP63などの他の外胚葉形成不全症の原因遺伝子についても解析を行う。年度内に、得られた研究成果を英文誌と学会で報告する予定である。
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Research Products
(6 results)